〜 みなさんのサポーター!"チューター"さんからのメールを幾つか紹介していきます 〜
こんにちは。チューターの高原です。 さて、前回は軟体動物や節足動物の血の色は何色だろういうことでしたね。 人間や動物などの脊椎動物の血の色は赤いですよね。 酸素を運ぶのは、血液中の赤血球にあるヘモグロビンです。 このヘモグロビンは、鉄を含むタンパク質であり、これが酸素と結びついている と鮮やかな鮮紅色をしています。 つまり、酸素と結びついている鉄は酸化鉄として存在しているため、血液の色は 鮮やかな鮮紅色で見えるということです。 さて、タコや貝などの軟体動物、 エビやカニの節足動物の血の色は何色か。 実は、青い色をしているらしいです。 これらの生き物の酸素を運ぶのは、ヘモシアニンです。 このヘモシアニンは、銅を含むタンパク質であり、これが酸素と結びついている と青色をしています。 つまり、酸素と結びついている銅は酸化銅として存在しているため、血液の色は 青く見えるということです。 他にも イカ、エビ、ザリガニ、牡蠣、カタツムリ、クモの血も青いそうです。 ・・・・ここで、疑問が出てきませんか? 私たちが怪我をすると、赤い血が出てきますが、タコやイカなどお刺身にすると きにさばいてみても青い血が出ているところをみたことないですよね? 実は、ヘモグロビンは酸素と結びつくと鮮紅色、ヘモシアニンは青色ですが、こ れが各細胞で酸素を離して還元型のものになると、ヘモグロビンは暗赤色、ヘモ シアニンは無色になるそうです。 タコやイカをさばいて青い血が見れない可能性ですが、色が薄いからではないで しょうか。 確信はありませんが・・・。 さばくと空気に触れて青い色が見られてもいいはずなので。 生きていてる状態でさばいたことがあるのですが、青色を見たことがありません。 うまくいけば青色が見えるかもしれませんが、どうなのでしょうね。 何か質問があれば気軽にどうぞ。
こんにちは.チューターの鳥越です. 皆さんはそろそろテストの時期でしょうか. 受験生はラストスパートといったところでしょうか. どちらにせよ,勝負の時!ですね. 私も勝負の時!でした. 先ほど修士研究審査会があり, 発表を行いました. 的確に質問に答えることができず・・・ 撃沈です. 皆さんも,こんなことにならないように, 日ごろから準備はしっかりしておきましょうね. 沈んだ気持ちなので今回のメールは短めです. それでは,次回もお楽しみに.
こんにちは,チューターの鳥越です. KEKでの実験や,修士論文関連でばたばたしていまして, 久しぶりの先取りメール☆のように感じます. さて,ついにバンクーバーオリンピックが始まりました. スキーにスケート,そしてソリ. どれもこれも滑っていく競技ですね. (受験生の皆さん,気にしないでね) 今日は氷の上を滑る原理について話そうと思います. これまで,氷や雪の上を滑る原理として, 「摩擦熱が生じる→氷・雪が溶ける→滑る」 スケートにおいては,細い刃のみで氷面と接するために, 「高圧がかかる→氷が溶ける→滑る」 (以前の先取りメール☆の内容です) という説明がなされていました. しかし,実際は氷や雪の表面にわずかに存在する 自由に動く水分子によって滑っているのだそうです. 参考文献:日経サイエンス2000年4月号 氷は水の結晶です. 結晶とは分子同士が規則正しく並んでいるために, それそれの分子は自由に動くことができません. しかし,最も外側=表面の分子は 隣に分子がいないために,動くことができるのです. このように,一つの物質であっても, 内側と表面とでは異なる性質をもっています. 私たちの研究室では「表面」に着目して研究を行っています. それでは,次回は「表面」に関するお話をしましょう. 覚えていればですが・・ 次回の先取りメール☆もお楽しみに.
こんにちは。チューターの高原です。 2月もあと少しで終わりますね。 今、研究室では風邪が流行っており、大変な状態となっています。 私も風邪気味な感じがしてます、みなさんは風邪を引かないように気をつけてく ださい。 さて、今回の話です。 人間や動物など脊椎動物の血の色は赤いですよね。 ところが、タコや貝などの軟体動物、 エビやカニの節足動物の血の色は違うら しいのですが、いったい何色なんでしょうか。 次回、話をしようと思います。 何か質問があれば気軽にどうぞ。
さて,二月三日は節分ですね. ここ数年で恵方巻を食べる風習がメディアに取り上げられ, 一気に広まりました. 私の実家ではそれ以前からあったので, 全国的ではなかったことに驚きました. どうやら,関西圏を中心とした風習のようです. もう一つ忘れてはならないのが豆まき. 今日はその大豆に関するお話を. 大豆はたんぱく質,脂質を多く含むことから 「畑の肉」とも呼ばれます. 日本では古くからいろいろな形で食べられてきました. 豆腐や納豆など食材としてはもちろんのこと, しょうゆや味噌など調味料としても利用されてきました. こうして例を挙げると, 日本の食文化は大豆の文化といっても過言ではないのかもしれませんね. おせちの定番,黒豆も大豆の一種です. 脂質を多く含む大豆から,作られるのが大豆油です. 食用としてだけではなく,工業用にも広く利用されています. 透明性か高いことからインクの原料としても使われています. 従来使われていた石油由来の有機溶媒の代わりに, 大豆油を使ったものを大豆インクと呼ぶそうです. 乾燥に時間がかかるため,現在は新聞などの印刷物への使用がほとんどです. 大豆インクは生分解されやすく, リサイクルする際のインク除去が容易であるという利点があるそうです. 身の周りにある「大豆インク使用」の表示を 探してみてはいかがでしょうか. 結構な数が見つかると思いますよ. それでは,次回の先取りメール☆もお楽しみに. 寒さに負けずお互いに頑張りましょう♪
なぜ温泉豆腐は軟らかいのかということですが、 普通の豆腐をお湯で茹でると硬くなってしまいますが、温泉で茹でると軟らかくなります。 これは温泉に含まれる成分に原因があります。 アルカリという言葉は聞いたことあると思います、アルカリはたんぱく質を溶かす性質を持っています。 豆腐はたんぱく質でできているので、アルカリ性の温泉で茹でるとたんぱく質が溶け、豆腐があんなに軟らかくなるんですね。 ただ、温泉にも様々な種類の温泉があり、アルカリ性の温泉でも飲むのに適してなければ温泉豆腐にしても食べれません。 ちょうどいい温泉じゃないとおいしい温泉豆腐は食べれないんですね。
今日はエネルギーの「量」と「質」についてお話します まずここに100ccの10℃の水と100ccの90℃のお湯があったとします 両者とも熱エネルギーを持っていますね これを混ぜてみましょう 理想的な実験室では熱が外界に逃げないとするので、2つを合わせると50℃のお湯になることは容易に想像できます 熱が外界に逃げないということは、エネルギーの量は保存しています エネルギー量は変わらないので一見損はしていないかのように見えます しかし考えてみてください 90℃のお湯ならコーヒーをおいしく飲めそうですが 50℃のお湯ではすごく中途半端ではないでしょうか? なんということでしょう! エネルギー量は変わらないのに何か損しています そう、これがエネルギーの「質」が悪くなった事に相当し 物理用語では「エントロピーが増大した」と言います 10℃と90℃の水から50℃の水は作れますが、50℃の水から10℃と90℃の水を作り出せるでしょうか? 答えは否です 熱力学の世界ではエントロピーの増大は非可逆なのです 割れたコップが元にもどらないように・・・ 今時代はエコの時代 エネルギーの量はもちろんのこと、実はエネルギーの質にもこだわらないといけないということですね それではまた
今回のメールは趣向を変えて科学系の論文(記事)について紹介します。 前回の交流カフェで地球温暖化の原因として二酸化炭素について色々と議論しましたが、実際は二酸化炭素だけでなく他にもいくつかの物質が温室効果ガスをもたらすガスとして確認させれいます。 今回紹介する論文では亜酸化窒素(N2O)ガスが地球温暖化だけでなくオゾン層の破壊をもたらすガスとして紹介されています。 そもそもN2Oは笑気ガスとして知られており、このガスを吸うと笑う(もしくはそう見える)そうです。 私が注目したのは論文の内容ではなく論文のタイトルで、「Nitrous Oxide: No Laughing Matter」となっています。 日本語訳は「亜酸化窒素:笑いごとじゃない」となっており、かなりユーモアのきいたタイトルになっています。 現在私も修士論文に取り組んでいますが「こういったユーモアのセンスも必要だろう」と思っているので、皆さんも将来こういったユーモアのある科学者になってください。 最後に、そろそろメールのネタがなくなってきたのでこういった内容を取り上げてほしい(たとえば最近気になったニュースや行ってほしいシミュレーションなど)という人がいればぜひメールしてください。
先週末はセンター試験でしたね. 私のいる理学部も試験会場になっていました. みんな真剣な面持ちで頑張っていましたよ. センター二日目は阪神大震災から15年目でした. みなさんは阪神大震災のことを知らないのではないでしょうか. 私が小学三年のときに起こりました. 岡山県は震度4だったと思います. 朝起きてみると,家族がテレビの前に集まっていて, ニュースを見ていました. 当時はどれだけすさまじい災害だったのか理解していませんでしたが, 今となってはかなりの惨状だったことに驚きます. ハイチでも12日に地震が起きましたね. 地震の原因は複数ありますが,最も多いのはプレートのぶつかりに関連するものです. 沈みこんだプレートが元に戻るときにゆれが生じます. 日本もハイチも地震の原因となるプレート間の境目に位置しているために, 地震が起こるのです. 気象庁のHPでよい説明を見つけたので参考にしてみてくださいね. 気象庁 気象等の知識 地震・津波 http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/jishin.html 受験生のみなさんはこれからが受験本番といったところですね. 自分を信じて力を出してください. 陰ながら応援しています.
みなさまあけましておめでとうございます。 冬休みも終わって学校がはじまったと思いますが、みなさんはどのようにすごしていますか? 私はウンウン唸りながら卒業論文を書いています。 さて今回は「円周率のケタ数の世界記録が更新された」ことについてです。 以前からスーパーコンピュータを使って円周率を数兆ケタの精度で出すということは行われていましたが、今回は普通のデスクトップパソコン一台を用いてトータル4ヶ月程度計算させることにより新記録の約2兆6999億桁を実現しました。 今回行われた計算では「1台のPC」であることを利用した高速化の手法を使っています。一般的なスパコンは複数のCPUを並列につなげて並列計算させることにより高速化を行っていますが、今回のパソコンではCPUが一つであるため処理が単純になり、また計算する際にCPUのキャッシュ(CPUに直接くっついている高速なメモリ、ただし容量が少ない)を効率的に利用することができるようになりました。 私も昔大学の授業で円周率の近似値を求めるプログラムを組んだことがありましたが、それはせいぜい数桁でした。 その計算手法ならばエクセルで計算できると思うので、もし興味があれば取り上げます。
明けましておめでとうございます。僕が卒業するまで、短い期間ではありますが、よろしくお願いします。 最近は修士論文作成で、毎回とはいきませんが、何か書こうと思いますし、もちろん質問等も受け付けます。 この間、何の話をしていたかを思い出すと・・・、数を数えるというのは自然数の集合とに対応関を付けることなんだよという話をしました。 この操作を無限の集合に対して拡張するとどうするべきでしょうか?今日は、そういう話。 これを考えたのがカントールという人なのですが、率直に言うと、無限が対象になっても有限集合と変わらないよと考えたわけです。 つまり、無限集合に対しても、自然数の無限につづく集合に対して一対一の対応関係が成り立つと考えるわけです。 非常に、シンプルな考え方ですが、後で紹介するように、こう考えることで有限集合とは異なる性質が現れます。 無限集合に対しては、要素の数を、有限集合と区別するために、今後は濃度と呼ぶます。また、この議論の基本となる、無限自然数の集合です。この濃度を、0,1,2,...と数えられるという意味で「可算濃度」もしくは「可付番濃度」と呼ぶようです。 一対一対応が成り立つ2つの集合のことを「対等である。」といいます。この時のこの2つの集合の濃度は等しいと考えます。さきほど濃度は要素の数と説明しましたよね。要素数が保存するという考えたも有限集合と同じと考えるわけです。 以上が、無限集合に対する考え方です。 そうすると、無限集合には、有限集合に無い性質が現れます。その性質が、部分集合が全体集合に等しい濃度を持つ場合が存在するという性質です。これは、ありえない話です。例えば、日本の人口が無限大でかつ、岡山県民が無限大なら、日本の人口と岡山の人口と等しいということが起こりえるのです。 ここで、(ヒルベルトの)無限ホテルというものを考察しましょう。無限ホテルは文字通り、無限に部屋があるホテルです。だから、満室になっても、全く困りません。たとえば、満室の時に1人が人きても、1号室の人を2号室へ、2号室の人を3号室と、一部屋ずらせば1号室に空きができるので、問題ありません。 さらに、無限に人が来ても、よいわけです。ただ工夫が必要です。 例えば、 図 前 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ... n....... 後 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20...2n........ と、今部屋にいる人を、偶数番目の部屋にずらして、奇数番目に無限に来た新しいお客さんに案内すればいいわけです。 ここで、やった操作は、自然数全体の集合と偶数の集合が、一対一関係が成り立つことを利用しています。つまり、自然数全体の集合と偶数全体の集合は対等であり、濃度は等しいのです。だから、無限に空室ができます。 今日は、ここまで 質問受付中、間違いがあったら指摘して下さい。
こんにちは,チューターの鳥越です. 冬休みの生活から普段の生活に 体が慣れてきたのではないでしょうか. ここ数日グッと冷え込みましたね. 皆さんの住んでる地域では雪が積もりましたか? 幸い,岡山市内は雪が降りませんでした. 私の実家のあたりも,年に数回雪が積もる(といっても1-2センチ)程度なので, 本格的に積もられるとどうすればよいのかわかりません. 寒い日はコタツとミカンで,部屋の中にこもりたい派です・・ さて,今回は氷に関係したお話を. 私たちの生活している環境において,水は0 ℃で氷になりますね. つまり,0 ℃が水の凝固点です. <凝固点:液体が固体になる温度> それでは,水は0 ℃になると必ず凍るのか? 答えは,凍らない,です. 水をゆっくりと,かつ,振動を与えない条件で冷やしていくと, 0 ℃を過ぎても凍りません. しかし,凝固点を過ぎた状態で振動を与えたりすると, 一気に氷になります. この現象を「過冷却」といいます. ちなみに,凝固点は周りの圧力によって変わってきます. 大気圧下においては,水の凝固点は0 ℃ですが, 高圧ではもっと高い温度で存在する氷もあるんですよ. それでは,寒さに負けずに頑張りましょう!
こんにちは。チューターの高原です。 さて、前回はなぜ餅米じゃないとお餅にならないのかという話をしましたね。 普通のお米と餅米・・・同じようにデンプンが含まれているのですが、デンプンの種類にヒントがあるんです。 お米には、アミロース(かたさを決めるでんぷん)とアミロペクチン(粘りを決めるでんぷん)とがあり、この2つのデンプンの割合によってもち米と普通のお米に分かれます。 普通のお米は、15〜35%のアミロースと、65〜85%のアミロペクチンで成り立っています。 もち米は、アミロースがまったく含まれず100%アミロペクチンで成り立っています。 普通のお米の固くなる性質はアミロースが原因で、もち米の粘りはアミロペクチンが原因らしいです。 色については、普通のお米は半透明、もち米は不透明の状態だと一般に知られているそうです。 デンプンの種類の違いで用途が変わるなんて不思議ですね。 あと、アミロースとアミロペクチンについてですが。 アミロースはグルコースが直鎖状に結合しており、アミロペクチンはグルコースが分枝状に結合しているそうです。 普通のお米ともち米のヨウ素デンプン反応をすると、普通のお米は濃い紫色に染まる一方、もち米は褐色程度にしか染まらないらしいです。 ヨウ素デンプン反応の簡単な原理として、らせん構造のデンプンの中にヨウ素が入ることで紫色になります。 アミロースとアミロペクチンの結合状態が色に反映していることがわかりますね。
こんにちは。チューターの高原です。 明けましておめでとうございます。 2010年が始まりましたね。 毎年思うのですが、1年というのはあっという間に過ぎてしまうものですね。 現在、私は大学院2年生で修士論文を書かないといけない時期になり、遅くまで実験をする毎日が続いています。 実家に帰っていて思ったのですが、みなさんお餅は食べましたでしょうか? どうして餅米じゃないとお餅にならないのでしょうか。 普通のお米じゃお餅にならないですよね。 12月で行った大久保先生の講義でも少し出てきたのですが覚えていますか? 次回説明したいと思います。
こんにちは,チューターの鳥越です. 今年も残すところあと一週間. いつもならば,そろそろ終業式なのでしょうが, 今年はインフルの影響で,少し遅いとか. みなさんの学校はどうなのでしょうか. 岡山大学は,今日から冬季休暇です. 私自身は,29日からお休みをいただこうかな,と 予定を立てていますが,どうなるかまだ分かりません. ひとまず,今週末は実家に帰ります. というのも,日曜日が我が家の餅つきなので・・・ 数年前に,石臼が物置に眠っているのを発見して, それからは,毎年,杵と臼でついています. 私は,もっぱら丸めるだけですが. ということで,今日はお餅について. お餅はもち米から作られることは,みなさん知っていると思います. 一方,普段食べているご飯はうるち米といい, うるち米からはお餅を作ることはできません. これらの米の違いは,成分の含有量の違いです. 米には構造の異なる二種類のデンプンが含まれています. 1.分子量の小さく,直線状のアミロース. 2.分子量の大きな,枝分かれをしているアミロペクチン. もち米のデンプンはほぼ100%がアミロペクチンです. 枝分かれ構造をしているために, アミロペクチン同士が絡まりあい, お餅特有の伸びや弾力を生むのです. 今年一年間,皆さんと先取りコースの活動を通して, いろいろとよい刺激をもらいました. このメールに関しても, 「今度の先取りメールは何を書こうかな〜」と 楽しくやらせてもらいました. 皆さんにも楽しんでもらえているようで,うれしいです. どうもありがとう. 来年も,よい年になるといいですね.
こんにちは、チューターの尾古です 冬も本格化して特に朝晩は冷え込みます 特に岡山のように晴れが多い地域は昼と夜の寒暖の差が激しいです これはなぜでしょう? 昼間は地面が太陽によって温められます 夜は太陽から熱エネルギーは供給されません 逆に温かい地面からは赤外線が放射されて熱を失っていきます この現象は放射冷却と言います 曇りの日はこの赤外線が反射されて地面に戻るため、地表の温度は夜晴れているときほど下がりません しかし、晴れていると赤外線が放射される一方なのでどんどん冷えます 晴れの国岡山は実は諸刃の剣?なのかもしれません
先週は国際学会に行ってきました。学会の雰囲気や、普段研究で関わる事の無い研究テーマに触れることができてよい経験ができました。 さて、前回ゲーデルの不完全性定理について大まかな概要を説明しました。これから、この不完全性定理に迫っていこうと思います。 どうやらゲーデルの不完全性定理も歴史の自然な流れの中で必然的に、生まれた理論のようです。以前、僕が相対性理論の講義をしましたが、相対性理論の誕生も電磁気学の確立、エーテルに対する考察、マイケルソン=モーリーの実験、ローレンツの収縮理論、という歴史の流れがあったわけです。(100年たった今だからそう言えるけど、当時研究していた人は・・・・・まぁ、大変だったろうね(笑)) ゲーデルの不完全性定理は、 カントール −> ヒルベルト −> ゲーデル という、巨匠のラインがあってこその存在なのです。それに、僕は不完全性定理に行き着くまでの考察が面白いと思ったので、このテーマを選びました。 さて不完全性定理のまず第一歩として、何を考察するかというと数を数えるということを考察します。例えば、鉛筆の本数を数えたりとか、夜眠れないときに羊が〜〜〜匹と数えたりとかの、数えるということです。 数えるという何気ない操作ではあるわけですが、すこし考えると「数は無限に数えられるけど、無限は数えることができない。」ということがわかる思います。なぜなら、いくら数えたって次の数が出てくるからですから。 無限大と集合というテーマを、つまり考察します。 数えるということの本質は、一対一対応です。もっと、分かりやすく言うと、数えようと思っているものに数字の書いたラベルを”正確に”貼り付けるということです。 ”正確”にということを考察するために、その逆の間違えずに数を数えるこということを考察すると、 1)数の言い違いをしない。 例)1 2 4 5 6 2)数え落としをする。 例)1 2 " " 3 4 3)同じものを重複して数える数える。 例)1 2 (3, 5) 4 6 7 これをしなければいいわけです。これら1)〜3)をしないようにすることは、数学的に表現できます。 数の言い違いをしない、きちんとした対応関係を写像といいます。この写像という言葉を使うならば、自然数(正の整数)の部分集合の、数えようとする要素への写像(対応関係を待たそうとすること)こそが「数える」という操作になります。 数え落としがないことを、全射といいます。 そして、同じものを重複して数えないことを単射といいます。 全射でかつ単射を、全単射といいます。 数を正確に数えるということは、自然数の部分集合と数えようとする対象の写像が全単射であるということです。 集合という概念に不慣れだと、大変だと思うけど頑張って理解してください。ようは慣れですから。 自然数の集合というと、1,2,3,4,・・・ という自然数が、整列しているイメージすれば十分です。 今日は、ここまで. 質問および間違いの指摘受付中。
こんにちは! 科学先取り・チューターの尾古です 今日はNi(ニッケル)のお話です Niは応用範囲が広く、かなり身近なところにあります 例えば50円玉や100円玉は銅とニッケルを3:1に混ぜた合金です 硬貨には入手しやすい銅が多く使われますが、区別をつけるためにニッケルを混ぜて色を変えています ニッケルを使った合金は耐食性に優れているため、鉄ーニッケルの合金は液化天然ガスを運搬する船舶などに使われたりします またその耐食性から自動車のメッキなどでも活躍しています ちなみに名前は「クッフェルニッケル(kupfernickel:銅の悪魔)」と呼ばれる鉱物の名前を短縮したことからつけられたそうです
こんにちは,チューターの鳥越です. 12月も後半に突入しましたね. 今年も本当に残りわずかです. 先週の交流会の様子を先取りのHPで見ました. 多くの方が参加されていたようですね. 私はというと,ただいま,来週のはじめにある 学内での研究報告会の準備に追われています. ポスターでの発表になるので,ポスターを作成中です. 一枚の大きな紙に,自分の言いたいことを詰め込むのですが, これがなかなか難しい・・・ グラフがいっぱいで納まりきりそうにありません. が,どうにか納めねば. さらに,レイアウトも重要です. 流れを考えてグラフや文章を配置するのですが, これもまた,難問です. つまり! 「紙一枚をなめたらいけない」ということですね. 頑張って作ります・・・
12月も中盤にさしかかりましたね 私はまだかかってませんが、みなさんは風邪やインフルエンザにはかかっていませんか? これからも気をつけましょう。 先日、みなさんが平成20年度にどういったことをしてきたのかを中間報告書という形で頂き、軽くですが目を通させていただきました。 今年度だけでもいろんな講義、実験、ツアーなどなどを体験してきたみたいですね!! 何をしてきたのか覚えていますか? 印象に残ったことはあったでしょうか? 今までやったきたことは決して損にはなりません、今後、みなさんの活躍に役に立てば幸いで
「科学先取り」の生駒です。 最近事業仕分けでスーパーコンピュータ(スパコン)が「値段が高すぎる」ということで中止になりかけましたが、この事について皆さんはどう思っていますか? もし「実感がわかない」という人がいれば、私の紹介したエクセルのシミュレーションで高精度かつ大容量の計算をする場合を考えてみてください。その場合計算量が大きくなりすぎて皆さんのパソコンがフリーズし、計算結果が出力されるまで数分かかったりします。 実際の研究現場でも似たような事がおこり(私の研究でも一つのグラフを計算するのに1時間以上かかります)、結果を速く出したりより大規模な計算をおこなったりするためにスパコンがどうしても必要になってくる場合があります。 こんなことがあって最近話題のスパコンですが、長崎大学がFLOPS数で地球シミュレータを超えるスパコンを作成しました、しかも制作費は3800万円(地球シミュレータは約600億円)と非常に安上がりになっています。 このニュースを読んで「やっぱりスパコンに数百億円もいらないんじゃないか?」と考えるかもしれませんが、実はそこまで単純な話ではありません。 長崎大学が作ったスパコンは一般に売られている機器を大量につなげて作ったもので、確かにFLOPS数はすごい値になっていますが実際にシミュレーションに使う場合そのスペックを発揮できる領域(得意分野)が非常に狭いという欠点があります。 実際に運用されているスパコンでは広い研究分野で高速かつ高精度に計算するための工夫がいろいろと使われた専用の機器を使っているので、その機器の研究や調達に膨大な資金が必要になってきます。 長崎大学のように一般の機器(極端な場合PlayStation3が使われていたりします)をつかってスパコンをつくろうとする動きが増えてきていますが、それではできない計算があるので皆さんも安易に「あんな高価なスパコンは必要ない」とか言わないでください。
「科学先取り」の生駒です。 前回スイングバイのシミュレーションをおこなうエクセルを紹介しましたが、今回は軌道を変えるための初期値の設定方法について紹介します。 まず衛星自体の初期値について 「衛星の位置」・・・衛星は地球から打ち上げるため、衛星の初めの位置つまり二行目の「x」「y」の値は変更できません。 (もし変更した場合、「宇宙を漂っている物体の軌道」をシミュレーションすることになります) もちろん地球の軌道を変更した場合この初期値を地球の初期位置から少しだけずれた点に設定してやる必要 があります。 (地球と衛星を同じ位置に持ってくると計算エラーになってしまいます) 「衛星の速度」・・・衛星の速度は二行目の「Vx」「Vy」で変えることができ、このとり方によって地球から出発する角度(方向)が変わります。 「地球の速度」・・・地球の公転速度は二行目の「V2」で変えることができます。 ただし速度は変わっても公転軌道の形は変わりません。 「太陽・地球の重力」・・・衛星が受ける太陽と地球からの重力の大きさを変えるには、二行目・三行目にある「Ax1」「Ay1」・「Ax2」「Ay2」にある係数(紹介したエクセルではそれぞれー25とー1)を変更し、その後三行目を再度コピーしてやる必要があります。 「地球の軌道」・・・地球の軌道の形を変更してやるには、二行目・三行目にある「X2」「Y2」の関数の形を変更してやる必要があります。 単純に楕円軌道にしてやりたい場合は、二行目と三行目のどちらか一方の式に「*2」を追加して、その後三行目を再度コピーしてください。 もし「地球と衛星の軌道を重ねてみたい」とか「軌道をアニメーションで表示させたい」という人がいるかもしれませんが、そのような描写はエクセルで行うよりプログラムを作った方が簡単ですので、もし興味のある人はチャレンジしてください。(私も相談くらいはのります)
さて,今回のテーマは「プレゼンテーション」です. 今度プレゼンテーションコンテストに参加した受講生いるそうなので, それにあわせてこれまで私が研究発表を行った経験をお話したいと思います. はやり,人前で発表するというのは緊張するものです. 特に,発表直前〜前半は緊張して手が震え, ゆれるポインターの先を見て「まずい緊張してる・・・」とさらに緊張してしまいます. もちろん,いい間違えも多々あります. でも,だんだんその状況に慣れていくといいますか, いったん落ち着けばこっちのものです. いつの間にやら身振り手振りで話していることも・・・ 発表の際気をつけているのが,できるだけ聞き手のほうを向くことです. ポインターでスクリーンを指す必要が無いときは, なるべく正面を向き全体を見渡しながら話すように心がけています. そのほうが,声も通るでしょうし,こちらの気持ちが伝わると思います. また,聞いている人の反応もわかるという利点もあります. (私はまだそのレベルまで達していませんが) これまで,講演会や学会など多くの発表を聞いてきましたが, 聞き手をしっかりと見て発表されると, 聞き手側もぐっと引き込まれます. いつかそんな発表ができるといいなあ,とおもって聞いています. しかし,なんといっても重要なのは元気の良さです. 緊張していても大丈夫. 大きな声で発表すれば万事OK! 今後のみなさんの発表の参考になれば幸いです. これまでの発表についてのエピソードがあれば聞かせてくださいね. 私も参考にしたいと思います.
こんにちは、チューターの信国です。 今週の、頭に中間発表がありました。今日は、その話をしようと思います。 岡山大学では、学祭の終わった次の日くらいに中間発表があります。何の中間発表かというと、もちろん自分の研究についてです。通常、修士は2年で卒業で、修士の2年目が終わるまでに修士論文を作りあげなければなりません。だから、その論文を書くにあたり現在どのように研究が進んでいるかを発表します。 発表の形式は、ポスターを用いて行います。その研究は、どのような動機で行っているのか、そのためにどういう研究を行ったのか、そして何が分かったのか、これからどうするか等をキチンと説明できると良いようです。(なぜに、他人。。。?) 実は、理系とわずあらゆる分野で、発表する能力というのは必要です。多分、嫌だなと思っている人もいるかもしれないけど、ポジティブに考えて、(人に説明することで自分の中で整理ができるとか、話している相手からよいアドバイスがもらえるとか)発表できるとよいと思います。
こんにちは。チューターの高原です。 今日、理学部でオープンキャンパスがありました。 プログラムに研究室見学があり、いくつかある研究室の中からうちの研究室が担当の1つになったので、見学に来た高校生に研究室紹介を行いました。 内容は、うちの研究室ではゼオライトを使って研究をしていること、付けた金属イオンにより特異的な吸着現象が起こること、特別な実験装置を使っている・・・などなど。 あとは、Cu(2+)の溶液は何色か、実験を真空条件下で行うのはなぜか、というのも質問しましたね。 いろいろと話をしましたが、高校1年生ということもあり難しいなという顔をしていました。 実際研究をしている私も難しいと思っているので素直な反応だなと感じましたが。
「科学先取り」の生駒です。 前回スイングバイのプログラムの基礎部分を紹介しましたが、今回はシミュレーションを行うエクセルについて紹介します。 ・・・が非常に複雑になっていますので、もしできないもしくはわからなかった人はメールで質問してきてください。 スイングバイのエクセルは下のようになります。 1行目 [t] [x1] [y1] [Vx1] [Vy1] [Ax1-0] [Ay1-0] [Ax1-2] [Ay1-2] [x2] [y2] [V2] 2行目 [0] [9.9] [0] [-2] [0.1] [*1] [*2] [*3] [*4] [=10*COS(L$2*A2)] [=10*SIN(L$2*A2)] [1] 3行目 [=A2+0.01] [=B2+D2*0.01] [=C2+E2*0.01] [=D2+F2*0.01+H2*0.01] [=E2+G2*0.01+I2*0.01] [*5] [*6] [*7] [*8][=10*COS(L$2*A3)] [=10*SIN(L$2*A3)] [] *1 =-25/(B2*B2+C2*C2)*B2/SQRT(B2*B2+C2*C2) *2 =-25/(B2*B2+C2*C2)*C2/SQRT(B2*B2+C2*C2) *3 =-1/((B2-J2)*(B2-J2)+(C2-K2)*(C2-K2))*(B2-J2)/SQRT((B2-J2)*(B2-J2)+(C2-K2)*(C2-K2)) *4 =-1/((B2-J2)*(B2-J2)+(C2-K2)*(C2-K2))*(C2-K2)/SQRT((B2-J2)*(B2-J2)+(C2-K2)*(C2-K2)) *5 =-25/(B3*B3+C3*C3)*B3/SQRT(B3*B3+C3*C3) *6 =-25/(B3*B3+C3*C3)*C3/SQRT(B3*B3+C3*C3) *7 =-1/((B3-J3)*(B3-J3)+(C3-K3)*(C3-K3))*(B3-J3)/SQRT((B3-J3)*(B3-J3)+(C3-K3)*(C3-K3)) *8 =-1/((B4-J4)*(B4-J4)+(C4-K4)*(C4-K4))*(C4-K4)/SQRT((B4-J4)*(B4-J4)+(C4-K4)*(C4-K4)) 以上を全部打ち込んでください。 打ち込みが終了したら三行目をまるごとコピーしてください。 だいたい1700行ぐらいまでコピーするとある程度の距離をシミュレーションできます。 コピーが終わったらB列とC列をグラフにすると人工衛星の軌道をシミュレートできます。 ここのパラメータの説明をしますと [x1] [y1] [Vx1] [Vy1] は人工衛星の位置と速度です。 [Ax1-0] [Ay1-0] は人工衛星が太陽から受ける重力です。 [Ax1-2] [Ay1-2] は人工衛星が地球から受ける重力です。 [x2] [y2] は地球の位置です。 [V2] は地球の公転速度に関係するパラメータです。 初期値は2行目にある[x1] [y1] [Vx1] [Vy1]と[V2]のパラメータです。 この初期値をいじってうまく太陽や地球の重力を使ってスイングバイできるような軌道をみつけてみてください。 初期値だと太陽のまわりを回ったあと地球に再接近後、その重力によって方向を変換しています。 (・・・作るの大変だった〜)
最近、中間発表の練習がありました。話をまとめるのは、とても難しいですね。 今日は、僕の研究内容をお話します。 僕の研究内容は、X線吸収の計算をしています。だから、実験をするんじゃなくて、紙とパソコンを駆使して研究しています。(主にパソコンだけど)ただし、実験結果を無視するわけじゃなくて、論文などを読むなどしてキチンとチェックしています。 論文をチェックする時大切だと思うのは、それが自分の知っている知識と合致するか、もしくはイメージを捉えれるか。(最低、後者のラインには達したい)それができない時は、できない時でそれを調べる。こうすると、すぐにでも必要な知識だけに、かなり勉強になります。ただ、そうゆう必要な知識を手に入れるのは、入れるので難しいな〜と思う今日このごろですが・・・。 もう少し僕の研究内容を紹介しましょう。X線というのは、よろしいでしょうか。X線というのは、光の一種です。それも非常に波長の短い。波長の長い順に、ラジオなど放送に使われるラジオ波。実はwikiで調べると色々な家庭の製品で役に立っている赤外線。でも、物性の僕から言わせてもらえば、固体等を構成する原子の振動の周波数にマッチする領域という認識なのですが。次に目に見える可視光。言い方を変えると、網膜が反応する光の領域。次に女性(男性も?)の肌の天敵、紫外線。そして、X線となります。 X線はもっとも、電子に応答する波長領域です。 これを、通して固体中で電子がどのような状態にあるのかを研究できます。どのような、電子の状態がありえるか。また、どのような相互作用がありえるか。それを考察しモデル化して計算する。そのような研究です。 最初は、何がなんだかサッパリ分からないことから始まったわけですが、1年半研究を続けると、少しは足場が固まりますね。この研究の面白みはもちろん、世の中で謎と言われることにアプローチして解き明かすこと・・・でしょうが。しかし、現実は厳しくてなかなか難しいわけですね。むしろ今のやりがいは、(仮に誰かが考えたテクニックであっても) 自分の知っている知識で足場を固めてアプローチしていくそれが、やはり今の研究の面白みでしょうか。
先週のメールについて「もっと詳しく!」という返信があったので今回から「人工衛星のスイングバイ」について紹介していきます。 ・・・といってもかなり複雑な問題になってくるので今回は仮定や運動方程式の説明を行います。 まず計算を簡単にするためのいくつかの仮定を行います。 1.考える天体は太陽と地球だけである。 2.地球は太陽(原点に固定)のまわりを決まった軌道で運動しているものとする。 (以前の惑星の運動のシミュレーションで軌道を計算してもいいのですが、さすがに面倒くさいので今回は省略する) 3.人工衛星の質量は天体に比べて十分小さく、天体が人工衛星から受ける影響は無視するものとする。 (小惑星など天体の質量が小さいものだと人工衛星からの影響が無視できないものになります) 以上の仮定により今回計算すべき事柄は 1.地球の軌道 2.人工衛星が太陽から受ける重力の大きさ 3.人工衛星が地球から受ける重力の大きさ 4.人工衛星が受ける合計の重力から人工衛星の軌道を求める この四つになります。 1・2・4は以前のシミュレーションとほとんど変わりませんが、3だけ少々改良を加える必要があります。 地球から受ける重力の向きは人工衛星と地球の位置関係によって大きさや向きが常に変化します。 そのため運動方程式の形が大幅に変わってしまいます。 m1*d^2 x1 / dt^2 = - G*m1*m2/((x1-x2)^2 + (y1-y2)^2) * (x1-x2) / ((x1-x2)^2 + (y1-y2)^2)^0.5 x1、y1:人工衛星の位置 x2、y2:地球の位置 G:重力定数 m1:人工衛星の質量 m2:地球の質量 各部分の説明をしていきますと、 「G*m1*m2/((x1-x2)^2 + (y1-y2)^2)」 この部分が重力の大きさを示しています。 ただしこの部分だけだと重力がどちらの方向を向いているか分かりません。 「 (x1-x2) / ((x1-x2)^2 + (y1-y2)^2)^0.5」 この部分は重力の向き、特にX方向の大きさを表しています。 詳しいことがしりたい人は「ベクトル」というものについて調べてみてください。 今回はここまでです。来週からは実際に組んでみたエクセルを紹介します。
中間発表が間近ででけっこう忙しい、今日この頃です。 さて、長く電気と磁気の話をしてきました。今までの話で電気と磁気は非常に密接な関係であることが分かると思います。大学では、これをひとくくりにして電磁気学といいます。 今回は、電磁気学のまとめとしてマクスウェル方程式の話をします。ただ、数式を使わないので、どうしても厳密性に欠ける直感的な説明になるので注意して下さい。 では、マクスウェル方程式を説明すると、この方程式は電場と磁場の性質を言っている方程式です。マクスウェル方程式は4つの方程式からなります。 1つ目は、ガウスの法則といい、電場の性質を表す方程式です。非常に、単純な表現をするなら、電荷(電気を帯びた点、もしくは領域)があると、その周りに電場が現れるいう方程式。 2つ目は、N極とS極は独立に表れないという方程式。 3つ目は、アンペールの法則を表す方程式。 4つ目は、電磁誘導を表す方程式。 この4つの方程式は、実は今まで紹介してきた自然現象を数学的に表現した方程式なのです。つまり、長きに渡る自然現象の考察から成り立っているのです。 今までよく理解していることを、数学という言葉で表記してどのような利点があったかを少し説明しましょう。 この4つの方程式は、ベクトル解析と呼ばれる数学が使われています。だから、マクスウェル方程式はベクトル解析の定理が使えるわけです。 すると真空中において、電場が時間変化すると磁場が表れるという結論が得られます。ここで電磁誘導の法則を思い出すと、この関係と逆の磁場が時間変化すると電場が現れると説明しました。この2つの関係によって、電場と磁場が交互に振動して現れ真空中を伝播していく電磁波が予言されます。そして、電磁波の伝播速度は光速と等しいことから、光って電磁波?という話になり、僕が以前紹介した、相対性理論につながります。 今日は、ここまで。 来週からは、別の話を検討中です。電磁気学の最後として一言。話には流れがあります。今回は電磁気学の話でしたが、そういうのを少しでも汲み取っていただけると幸いです。
最近夜空がすんできたので天体観測でもしてみようかなと思っています。 みなさんも機会があれば夜空を眺めて見てください。 (ただし、寒いので風邪をひかないように注意してください) さて今回は天体観測に関連して「スイングバイ」について紹介します。 もしかすると聞いたこともあるかもしれませんが、「スイングバイ」とは人工衛星などが惑星の重力と公転運動を使って進行方向や速度を変える方法です。 この方法の特徴は惑星の重力を利用していため加速(減速)や方向転換にに必要な燃料を節約できるという点です。 燃料が軽くなると衛星自体の重量も軽くできたり、より多くの機材が積み込めたりと非常に多くの利点があります。 しかし大きな難点もあります、それはコース設定を正確に行っていないと惑星に衝突したり、変な方向に飛ばされてしまったりします。 この重要なコース設定はあらかじめシミュレーションされているのですが、そのシミュレーションの基本原理は皆さんに紹介しているエクセルのものと同じです。(もちろんもっと複雑で高精度になるための工夫などがされています) 実際皆さんに紹介しているエクセルで簡単なスイングバイのコースをシミュレーションできたりもします。(ただ初期値の設定が非常に大変です) もし興味のある人がいればメールしてください、このメールで作って紹介します。
明日はハロウィンですね。 海外では仮装した子供達がいろんな人の家を回ってお菓子をもらっている光景をテレビで見たりしますが、日本の子供達がそういうことをしているのを見ませんよね。 そういう私もハロウィンをしたことはありませんが・・・ それにしても国によって文化が違うというのは面白いですね。 しかし、文化が違うと戸惑うことがあるのも事実です。 みなさんは外国の人と接する機会がありましたか? 私は研究室に入り、何人かの外国の方と接する機会がありました。 宗教やらで食べられないものがあったりと、一緒にご飯を食べに行くときはそれを配慮してお店を選んだものです。 外国の人と接すると新しい発見があるかもしれませんよ!!
以前紹介したラザフォード散乱の部分で方程式やエクセルの部分に間違いがありましたので、その訂正を送っておきます。 ラザフォード散乱のメールに書いていた運動方程式は誤った式と正しい式は下のようになります。 (誤) d^2 x / dt^2 = k*e1*e2/(x^2 + y^2)^0.5 * x / (x^2 + y^2)^0.5 d^2 y / dt^2 = k*e1*e2/(x^2 + y^2)^0.5 * y / (x^2 + y^2)^0.5 1行目 [X] [Y] [Vx] [Vy] 2行目 [10] [10] [-3] [0] 3行目 [=A2+C2*0.1] [=B2+D2*0.1] [*1] [*2] *1 =C2+10/SQRT(A2*A2+B2*B2)*A2/SQRT(A2*A2+B2*B2)*0.1 *2 =C2+10/SQRT(A2*A2+B2*B2)*B2/SQRT(A2*A2+B2*B2)*0.1 (正) d^2 x / dt^2 = k*e1*e2/(x^2 + y^2) * x / (x^2 + y^2)^0.5 d^2 y / dt^2 = k*e1*e2/(x^2 + y^2) * y / (x^2 + y^2)^0.5 1行目 [X] [Y] [Vx] [Vy] 2行目 [10] [10] [-3] [0] 3行目 [=A2+C2*0.1] [=B2+D2*0.1] [*1] [*2] *1 =C2+10/(A2*A2+B2*B2)*A2/SQRT(A2*A2+B2*B2)*0.1 *2 =D2+10/(A2*A2+B2*B2)*B2/SQRT(A2*A2+B2*B2)*0.1 ------------------------------------------------------ 以前エクセルでのシミュレーションで惑星の運動などを紹介していたのですが、結局エクセル自体は紹介していなかったので今回それを行います。 (このメールを作るのにあたり、以前のを見直しているとにき訂正箇所を見つけました) まず運動方程式ですが下のようになります。 m1*d^2 x / dt^2 = - G*m1*m2/(x^2 + y^2) * x / (x^2 + y^2)^0.5 m1*d^2 y / dt^2 = - G*m1*m2/(x^2 + y^2) * y / (x^2 + y^2)^0.5 G:重力定数 m1:惑星の質量 m2:太陽の質量 (太陽は原点に固定されている) この式をよく見てみるとラザフォード散乱のときに使った荷電粒子の運動方程式とほぼ同じ形をしています。 このため惑星の運動をシミュレーションするためのエクセルはしたのようになります。 1行目 [X] [Y] [Vx] [Vy] 2行目 [6] [0] [0] [2] 3行目 [=A2+C2*0.1] [=B2+D2*0.1] [*1] [*2] *1 =C2-25/(A2*A2+B2*B2)*A2/SQRT(A2*A2+B2*B2)*0.1 *2 =D2-25/(A2*A2+B2*B2)*B2/SQRT(A2*A2+B2*B2)*0.1 (G*m2をまとめて25としている、m1は両辺にあるので取り除くことができる) 3行目を500行ぐらいまでコピーしてやると惑星の軌道を計算できますが、残念ながらこの値では安定した軌道にはなっていません。 (正直にいうと安定的な軌道を描くパラメータが見つけられませんでした。この値だと徐々に太陽から遠ざかっていきます) みなさんも初期値(2行目のX、Y、Vx、Vyと3行目の25(=G*m2)部分)を変えてみてぜひ安定な軌道を描くパラメータを見つけてください。
昨日と今日と大学の方で、MCMを世界で最初に合成したと言われている先生の集中講義がありました。 MCMという言葉は聞いたことありますか? きっと初めて聞いたことでしょう。 MCMは界面活性剤とシリカを使うことで作ることができ、たくさんの棒状の穴が開いている物質です。 界面活性剤で棒状のミセルを作り、その後シリカを添加して加熱をします。 加熱をすることで有機物が除去されシリカだけが残ります。 このシリカだけ残った状態をMCMと言い、界面活性剤の種類を変えることにより様々な穴の大きさのMCMを作ることができるという特徴を持っています。 他にもいろいろな話があり、面白かったです。
先週、先々週と発表会、お疲れ様でした。去年から発表会を見ていますが、クォリティーがどんどん高くなっているなと感じます。これからも、自分なりに色々取り組んで下さい。 その自分なりの取り組みの中で、何か分からないことがあったら、連絡して下さい。分かる範囲でお答えするか、もしくはアドバイスができると思います。(分からないものは、分からないとキッパリ言いますがね(笑)) 先週は、有名な右ネジの法則ことアンペールの法則をお話しました。じゃあ、今日は・・・、予想が着くと思いますが、フレミングの左の法則です。 これ、アンペールの力と言います。 アンペールの力は、電線に電流が流れている時に、電流が流れている方向と垂直に磁場をかけると、電流、磁場とさらに直行する方向に力が生じるという法則です。というより、単純にフレミングの左手の法則に従った方向と言った方が、分かりやすいですかね。 ちなみにフレミングの左手の法則は、左の親指方向が力、人差し指方向が磁場、中指方向が電流に対応します。 アンペールの力は、電流はその流れている方向と垂直方向に磁場を受けると、力を受けるというものです。初期のアンペールの力の研究は、おそらく電流が流れている電線が、このアンペールの力によってしなるという研究だったんだろうなと思います。 アンペールの力は、応用面においても非常に大きな貢献をしていて、モーターなどに利用されています。磁石を向かい合わせて置き、その間にコイル(長方形型の電線と考えた方が理解しやすいかな)を置くと、このアンペールの力によってコイルが回転します。これがモーターです。
電気の話を始めて、大分たちますね。 さて、前回までの話を聞くと、電気や磁気には、どうも密接な関係があることが分かったんじゃないかなと思います。 さて、前回と前々回の話を思い出すと、 アンペールの法則 電流 −> 磁場が発生 アンペールの力 電流 + 磁場 −> 力 という関係が成り立っています。 さて、 こういう図式が成り立つならば、 磁場 −> 電流 ? 磁場 + 力 −> 電流 ? みたいな、予想が立てれるんじゃないかと思います。 その直感は正しいのです。コイルを置きます。磁石を持ってきます。すると、コイルに電流は・・・、流れません。一番最初の直感は違っています。ここで磁石に力を掛ける・・・というのはちょっと違いますが、磁石をコイルの中で動かす(振る)と、電流が流れるのです。これを、電磁誘導と言います。電磁誘導について、さらに詳細に話をするとコイルの面内の磁場(正確には磁束)の微小時間の変化量の大きさだけ、電流が流れます。(つまり、磁束の時間微分) ちなみに、電流がコイル中を流れる向きは、その磁場変化を妨げる向きになります。コイル中を電流を流れるのだから、アンペールの法則に従い磁場が発生します。この磁場が、磁石などからの外部磁場の変化を妨げる向きに発生するように電流は流れるのです。もしも、妨げる向きに電流が流れなかったら大変なことになります。(考えてみてください。)
前回「走査型トンネル顕微鏡」について紹介しましたが、この装置は原子を見ること以外にも原子を操作(移動など)することができます。 原子を操作するためには見る場合と同様に電圧をかけた探針を物体表面ギリギリまで近づけます。この時の電圧や表面との距離によっては物体表面の原子を探針にくっつけたり、逆にはじき飛ばしたりできます。 この手法をつかってIBMの技術者は物体表面に原子で書かれた文字つまり原子文字を書くことに成功しました。 世界初の原子文字は彼らの会社の名前から「IBM」とかかれ、その大きさは原子数個分という驚異的な小ささです。 最近では原子操作にかかる時間も短縮され、さまざまな原子文字や記号も書かれています。 例えば漢字でかかれた「原子」、原子操作で作られた世界最小のそろばん(ただし使うためには膨大な時間がかかります)などがあります。 最後に原子文字でかかれた文章を紹介します、これは英語で書かれていますが一種のジョークになっているので興味がある人は翻訳してみてください。 「If you can read this you are too close」
発表会お疲れ様でした、結構大変だったと思いますが大学などにはいると研究成果を発表するなどみんなの前で発表する機会が増えるので、今のうちからなれておいたほうがいいです。 今回は「走査型トンネル顕微鏡」について話していきたいと思います。 まずこの顕微鏡の仕組みを説明する前に、この装置で利用されている「トンネル効果」というものについて説明します。 もし電流を流す経路上に電子が越えられないエネルギー障壁があったとします、普通に考えれば電子は壁を越えられないのだから壁の向こう側には電流は流れないように思います。 しかしエネルギー障壁が十分に薄い場合、壁をすり抜けるようにして電流が流れることができます。 この現象を量子力学では「トンネル効果」と呼ばれています。 _________ | | (電子)O -> |(エネルギー障壁) | ->? この「トンネル効果」を利用したのが「走査型トンネル顕微鏡」です。 その仕組みは、まず探針(極端に尖った針)と試料との間に電圧をかけておいて、探針を試料表面ギリギリ(数Åまで (1Å=0.1nm))まで近づけます、この時探針と試料とのごくわずかな隙間がエネルギー障壁になっており十分に障壁が薄い(距離が近い)とトンネル効果により電流が流れます。 このとき流れる電流はエネルギー障壁に関連して変化するため、電流量から探針と試料との距離をしることができます。 この操作を一定の領域で連続しておこなってやるとその領域の微細な凹凸がわかります。 「走査型トンネル顕微鏡」の分解能(精度)は原子一個分の凹凸も見分けることが可能なので、物体表面の状態を知るのに大変便利です。 (たしか岡大にもありますが大変高価なものなので、触ってみたいというひとは残念ですが大学生まで我慢してください)
科学先取り岡山コース チューターの信国です。久しぶりですね。最近、僕が就職する会社の内定式などで忙しかったものですから・・・。 さて、前回の話の続きをすると、クーロン力は遠隔作用ではなく、近接作用であるという話でした。(さらに、いえば電磁気現象で現れる力というのは、近接作用の考え方に基づきます。) 近接作用の考えに基づくならば、電荷の周りには空間が変化した電場(電界)が現れます。 さて、ここで今までを振り返ると、冬でバチっとなるお馴染みの静電気からはじまり、電気を帯びた物体(電荷)、そして電気を帯びた物体間に働く力、クーロン力、そして、先週の近接作用の話まで行き着きました。 ここから、電気から、さらに一見して無関係な磁気の話を加えていこうと思います。 時は1820年。電気の科学的研究が始められて、50年以上が過ぎたぐらいです。デンマーク人のエルステッドさんが講義中に電線に電流を流すと、磁場が現れることを偶然発見したのです。その後、当時の時の天才であるフランス人のアンペールさんが、それについて詳細に研究しました。まずこの磁場の発生する向きは、電流の流れる向きに対して右ネジの方向に発生します。そして、その強さは、電線の距離に反比例し、流れる電流の強さに比例します。これをアンペールの法則と言います。 アンペールの法則というより、右ネジの法則と言った方が馴染みが強いと思います。 このことから、電流つまり電気が流れると、その周りに磁場が生じるということが言えるわけです。 質問受付中
さて今回は「ノーベル賞」についてです。 昨日(6日)にノーベル物理学賞が発表されて、「光ファイバー」と「CCD」の発明・発展に貢献した3人に送られました。 今回は比較的身近なものの発展に対して送られたため、皆さんもその恩恵を想像しやすいと思います。 「光ファイバー」は海底ケーブルなどに利用され、私たちが簡単に海外のサイトなどを見れるようになりました。 (私たちはよく研究に必要な海外の論文を探したりするので、もし海底ケーブルがなければ研究が進まないといったことになりかねません) 「CCD」はデジタルカメラなどの実現に貢献していますし、科学に対しての貢献を一つあげると天文学の分野で、作業効率の大幅な作業効率の改善に役立っています。 (その前までは光電子増倍管で一つ一つ星をチェックしていたそうです) 皆さんも将来こういった立派な賞をもらえるように頑張ってください。
先週の土曜日はみなさんの報告会だったそうですね. 残念ながら,実験等があって聞きにいくことができませんでした. 大久保先生から「みんなすごくしっかりしていて,とてもよかった」 と伺いました. 今週末もあるそうですが, 例のごとく筑波に実験をしに行くので・・・ 大学は10月から後期が始まり, 夏休みの静かさがウソのようににぎやかになっています. 研究室にも新たに二人のメンバーが加わりました. おかげで,部屋はぎゅうぎゅうです(笑) ここ数日でグッ冷え込みましたね. 風邪などひかないようにお互い頑張りましょうね.
さて今回は「強磁場」についてです。 皆さんが「磁場」と聞くと棒磁石や電磁石などを思い浮かべると思いますが、それらがどれくらいの強さの磁場かしっていますか? 磁場の強さを表す単位は「T(テスラ)」で、単位面積を貫く磁束の量で定義されています。 このTを使って磁場の強さを表すと、一般的な磁石は大体5mTぐらいしかありません。 また科学先取りで触った人もいるかも知れませんが、「ネオジム磁石」の磁場は1.25Tです。 ネオジム磁石くらいになってくると普通の磁石では見られない変わった効果が出てきます。 (一円玉をネオジム磁石にくっつけてから素早く離してみてください、そうすると若干一円玉が引き寄せられます) しかし、世界にはこれよりもっと強い磁場を発生させ、それを使って研究している人がたくさんいます。 強磁場では普通の状態では見られない変わった現象がいくつも現れてきます。 皆さんは「反磁性」という言葉を聞いたことがありますか? これは物体の内部に侵入した磁場にたいして、それを打ち消そうとする磁場が発生することです。 極端な例だと超電導物質などは完全に内部に入った磁場を打ち消してしまうため「完全反磁性」などと呼ばれています。 実は水も「反磁性」の性質を持っていますが、その大きさは非常に弱く普通の磁石では観測できるような効果を引き出せません。 しかし約16Tの強磁場ではこの「反磁性」の効果により水の玉が宙に浮くという現象が見られます。 (中には生きたカエルを入れたまま宙に浮かべてた例もあります) 他にも変わった現象がいくつかありますので興味がある人は調べて見てください。
科学先取り岡山コース 受講生のみなさん こんにちは。チューターの鳥越です。 朝夕めっきり涼しくなりましたね。 気づけばもう十月。今年も残すところあと三ヶ月...。早いものです。 さて、今回は私の最近の研究内容についてお話しようと思います。 私の研究室では実験から得られた情報を元に、どのような現象が起きているのか、どのような物質が存在しているのか、などについて議論しています。(俗に言う「実験屋」です。) しかし実験から得られる情報は限られています。 そこで、その補助としてコンピュータによる理論計算が必要となります。 理論的に、電子の動きや分子の形などを求めるのです。 これまで、理論計算に関しては専門の研究者の方と、共同研究という形で一緒に研究をおこなっていました。 (彼らのことは「実験屋」に対して「計算屋」「理論屋」などといいます。) しかし、今年から自分たちでも計算をやりたい! ということで,理論計算を導入しました。 現在、実際に実験を行っている反応においてどのような電子のやり取りがおきているのかについて検討しています。 うまく実験結果と計算結果が合致するものもあれば、全く結果が異なることもあります。 まだ計算についてはスタートしたばかりで、手探り状態ですが、軌道に乗ってくればかなり大きな戦力になると期待しています。 ホットな話題なので、ついつい熱く語ってしまいました... 皆さんのホットな話題もどんどん教えてくださいね。 それでは、次回の先取りメール☆もお楽しみに。
こんにちは! 科学先取り・チューターの尾古です 今回は磁性体についてお話ししましょう 磁性体とは、磁気に対して反応したり、それ自身が磁気をもつ物質の事です。 一番身近なのは磁石ですね それ以外にも磁性体はたくさん使われています 例えばクレジットカードやキャッシュカード 最近はICチップ入りのカードが多くなってきているものの、基本は磁気カードです さらに言えば電車の切符にも使われています 裏の黒く塗られているものがそれです ちなみに田舎過ぎると、磁性体は塗られていません(自動改札がないため) これら磁性体はその磁気的な小さい磁石の並び方で物事を記録しています ここに強い磁石を近づけるとこれらの並びかたが一方向に揃えられて情報が失われます また、高い温度や圧力をかけるとその並びが乱されます カードにはそれら注意事項が書かれています 切符も同じ事が言えるので気をつけましょう とはいえ、そんな状況にさらすことの方が少ないと思いますが それではまた
科学先取り岡山コースチューターの信国です。 皆様、どうおすごしでしょうか。分からない、ことがあったら積極的に聞いてきて下さいね。 前回の話の続きをしましょう。 前回の話をまとめると、電気を帯びた物質(電荷)が2つあるとその間にクーロン力という力が働くという話でした。今回はそのクーロン力について、もう少し補足します。 クーロン力は最初、遠隔作用による力と考えられました。遠隔作用とは、読んで字のごとく、遠く隔てられている物体の間に働く力という意味です。確かにクーロン力は、電気を帯びていれば、2つの物体間で距離に隔たりがあっても現れる力です。 ←● ●→ しかし、現代物理学では、クーロン力を遠隔作用とは解釈しません。クーロン力は近接作用と解釈します。近接作用とは、ようするに接することによって直接現れる力です。扉を開けたり、閉じたりするとき、物を持ち上げたり、接触することによって現れる、普段力だと考えている作用のことです。しかし、この考え方では、先ほどの遠隔作用の考え方と矛盾すると考えるでしょう?そう、確かに、その通り。ならば、どう考えたらよいかというと、媒体があると考えればよいわけです。例えば、音が聞こえるというのは、その音源から出る音を、空気という媒質が振動して耳に伝える、近接作用と言えます。ここで、もし空気に気づいてなかったら、音源→耳 という遠隔作用と認識できてしまいますよね。 つまり、クーロン力も同様、媒質があってそれが力を伝えて、電荷同士に力を伝えるという構造になっています。 この後歴史的に、この媒質は何という問いがあったわけですが・・・、最終的な結論だけいうと、その媒質とは空間であるという結論に行き着きました。電荷があると、空間が変化してクーロン力を伝える、それが現代の考え方です。 そのような意味で、電荷があるとその周りの空間が変化して電場という空間が形成されると考えられます。 ちなみに、ミクロな世界を扱う量子力学では、この考え方をさらに、飛躍して仮想的な光子(つまり粒子)の交換というふうにつながっていきます。
チューターの鳥越です。 朝夕がずいぶん涼しくなってきましたね。風邪をひかないように気をつけてくださいね。 さて、昨日は大久保先生が主催のシンポジウムがありました。 同じような現象を取り扱っているのにもかかわらず、これまで交流が無かった研究者の発表会といった趣旨でした。 今日から岡山理科大学で開催される学会にあわせて開かれたものです。 長野の信州大学からも先生と学生が来られてましたが、学生は車で来ていました。(なんと朝の三時に出発したそうです。) 岡山から筑波まで車で行くことを伝えると驚かれましたが・・・ というわけで,ただいま学会の準備に追われています。 それでは,次回の先取りメール☆もお楽しみに。
「科学先取り」の生駒です。 最近めっきり涼しくなりましたがみなさんはどのようにすごしていますか? 私はそろそろ長袖を出してこようかなと思っていますが、面倒くさいので半袖のまますごしてしまっています。(風邪をひくかも…) 今回は前回紹介したラザフォード散乱の補足をします。 ラザフォード散乱の実験以前、原子は均一に分布した正電荷の中に負電荷を持った電子が存在している(ぶどうパン模型)が注目されていました。 しかしこの模型ではラザフォードの行った散乱実験の結果(前回参照)を説明できませんでした。 もし原子がぶどうパン模型のようになっているならば実験結果は「ほとんどのα線は直進し、一部分が少しだけ軌道変えられる」のようになるはずです。 しかし実際は標的の後ろ側に散乱されてくるものまであり、この結果を説明するために正電荷をもちα線を散乱するほど重い核(原子核)があるのではないかとラザフォードは予想しました(有核模型)。 こういった物理的背景はシミュレーションを紹介するときに説明しておくべきなのですが前回のは忘れていました。 みなさんもこういった背景を考えながら前回のエクセルをいじってみてください。
科学先取りコース岡山コース、チューターの信国です。 夏休みも終わりだいぶ時間が経ちましたが、調子はいかがですか。夏休みボケはありませんか。 今回は、前回の話の続きをしようと思います。 前回の復習をすると、静電気の話をしました。そして物質が余分に電気を溜めていることを正(プラス)に帯電しているといい、不足していることを負(マイナス)に帯電しているという話をしました。 今回は、このような正に帯電している物質と、負に帯電している物質があると、どうなるかという話をします。さて毎回、正(負)帯電している物質と書くのはめんどうなので、正電荷(負電荷)と表現します。 さらに、話を理想化するために正電荷と負電荷の形を、点だと考えてください。(これを点電荷といいます。) ある一定の距離を空けて、正電荷を置き、負の電荷を置きます。すると、この2つは互いに引き付けられる、ということがおきます。つまり2つの点電荷の間で引力が発生したことになります。 それでは今度は、互いに同じ電荷(正電荷と正電荷、もしくは負電荷と負電荷)を、距離を空けて置きます。すると今度は、2つは互いに離れていきます。つまり2つの点電荷の間で斥力が働いたことになります。 この間に現れた力を、クーロン力と言います。 クーロン力の話をまとめると、同じ電荷同士だと斥力が働き、違う電荷だと引力が働きます。 もう少し、このクーロン力についていうと、クーロン力の強さはその考えている電荷間の距離の2乗に反比例します。 (クーロン力) ∝ 1 / (r × r) ちなみに、ニュートンが見つけた万有引力というものがありますが、万有引力も考えている物質間の距離の2乗に反比例します。 (万有引力) ∝ 1 / (r × r) さて、この式を見ると分かると思いますが、これを無限遠方まで有限の値をもちます。(つまり r に、どんな大きな数字を入れても0にはならない!)そのような意味で長距離力といいます。 2つの力は様々な実験を用いて検証されていて、キャベンディッシュのねじればかりがなかなか興味ぶかいので調べてみては? 万有引力を体験するのは、ある意味分かりにくいかもしれないけど(常に感じてるからね)クーロン力は下敷きを擦って、髪の毛に当ててみれば分かると思います。つまり、下敷きと髪の毛は異なる電荷を帯びており、引力を生じます。
こんにちは,チューターの鳥越です。 二学期かスタートしましたね。夏休みは楽しくすごせましたか? 二学期は体育会や文化祭などいろいろな行事があるのではないでしょうか。 私は高校の文化祭でホバークラフトを作りました。 掃除機を分解してモーターを利用しました。 私は小さな部品くらいしか作っていませんが、男子は楽しそうに本体を作っていたことを思い出します。 私たちが所属しているのは理学部ですが、ものづくりとなると工学部の領域です。 大学内にも「工場」と呼ばれる建物があり、そこで実習をしているようです。 話によると,金属表面をなでただけでわずかな段差を見つけ、その段差をなくすように削る実習があるとか・・・ 同じ理系で知らない世界が広がってます。 それでは,次回の先取りメール☆もお楽しみに。 夏休みの思い出お待ちしています。
こんにちは。チューターの高原です。 来週終わりに学会があり、その際に発表をするので実験を頑張っている日々が続いています。 朝5時に研究室へ行き、夜の8時まで居るなんてことがざらにあったり・・・ 実験によって測定時間などに違いがありますが、今私がしている実験は結構な時間がかかるんです。 途中で明日に回すこともできないので大変な測定です。 みなさんが学校でする実験というのは授業の間で終わると思いますが、本格的に実験をするとなるとそこの何時間で終わらせようというのは難しくなってきます。 測定が終わってもデータ処理をしたりしないといけませんしね。 実験というものは奥が深いものです。 何か質問があれば気軽にどうぞ。
今回は以前行った「エクセルでの数値シミュレーション」について新しい使い方を思いついたので、それを紹介します。 今回計算する問題は「電荷を持った粒子の散乱」です。 1911年金の薄膜にα線を入射させる実験が行われました、ほとんどの粒子は直進しますが一部の粒子が大きく散乱されました。 これはα線が原子核とのクーロン反発により大きく軌道を曲げられたためで、この実験はラザフォード散乱とよばれ原子核の存在を明らかにさせた実験です。 まずα線(ここから荷電粒子とします)の運動方程式は下のようになります。 d^2 x / dt^2 = k*e1*e2/(x^2 + y^2)^0.5 * x / (x^2 + y^2)^0.5 d^2 y / dt^2 = k*e1*e2/(x^2 + y^2)^0.5 * y / (x^2 + y^2)^0.5 k:クーロン定数 e1:原子核の電荷 e2:荷電粒子の電荷 ここでは原子核は原点にあり動かないものと仮定します。 それではこの問題を計算するエクセルを組んでいきます。 (Vx、Vyの部分が長すぎるのでそれぞれ下に書いている*1、*2の=より跡を代入してください) 1行目 [X] [Y] [Vx] [Vy] 2行目 [10] [10] [-3] [0] 3行目 [=A2+C2*0.1] [=B2+D2*0.1] [*1] [*2] *1 =C2+10/SQRT(A2*A2+B2*B2)*A2/SQRT(A2*A2+B2*B2)*0.1 *2 =C2+10/SQRT(A2*A2+B2*B2)*B2/SQRT(A2*A2+B2*B2)*0.1 (ここでは k*e1*e2をまとめて10としています。) 以上を入力できたらいつもどおり3行目をコピー(50行ぐらい)してください。 コピーができたら1列目と2列目をグラフにプロットすると、原子核によって曲げられた荷電粒子の軌道が描写されます。 また2行目の2列目のYの初期値を変えてみると散乱の大きさがかわるので実際にやってみてください。
今回は、電気の話をしようと思います。 静電気って、知ってますか?冬とかに、殊にセーターなどを着ている時、金属のドアとかを触ると、バッチとなるアレ。 静電気っていうのは、より流れやすいところに流れていくという性質があります。セーターなどウールと化学繊維がこすられると静電気の移動が起きます。すると、言わば人間は静電気を溜めた状態になります。そこに、金属(金属っていうのはスゴク電気が流れやすいんです)に触れると静電気が一斉に流れて放電現象が現れるんです。ちなみに、この放電現象は凄い時は暗い所で見ると光るほどだそうです。 夏にこのような静電気の現象を観測しないのは、第一にセーターを着る機会がないということ。次が冬に比べ、夏は湿度が高いということ。湿度というのは空気中の水分量だから、仮に静電気が溜まっていっても、その水分が体に溜まった静電気を逃がしていくからです。 さて、物質に電気が余分に溜まっていることを、正に帯電していると言い、足りなくなっている時を負に帯電しているといいます。正に帯電しやすい物質もあれば、負に帯電しやすい物質があります。このような、関係が成立しているならば、つまり正に帯電しやすい物質と負に帯電しやすい物質が摩擦などで密着させると大きな電気の移動が起きます。 今日はここまで、それでは。 質問受付中。
最近インフルエンザが流行していますので、みなさんも注意してください。 今回の話題は「GPS」についてです。 最近「このままだと2010年ぐらいにGPSが使えなくなる」というニュースがありました。 GPSはカーナビが位置情報などを取得するのに使われているもので、複数の人工衛星からの情報を元に地球上のどこにいるかを計算します。 しかし最近その人工衛星が老朽化してきたため、計算の精度が下がってしまう恐れがでてきました。 もしこのまま対策がなされないと「道路を走っているのにカーナビの表示では海の上を走っている」ということが頻発するようになるかもしれません。 対策などについてはこれくらいにして、みなさんはGPSの運用や利用に相対性理論が使われていることは知っていますか? 相対性理論はブラックホールや速度が光の速さに近い時にしか問題にならないだろうと思っているかと思いますが、実はGPSの計算にもしっかりと組み込まれています。 それは人工衛星の運動や地球重力の影響により地上と人工衛星の時間の進みかたが違っていることで、GPSではその効果を補正した計算が行われています。 このように相対性理論など日常生活とはかけ離れた理論も、よくよく探せば私たちの身近なものに利用されていたりします。
最近、朝方は冷え込んできていますね。私は夏の格好で寝ていたら丸まって起きています。みなさんは風邪を引かないように気をつけましょう。 さて、夏休みももう終わりに近づいてきましたね。 何か楽しいことや印象に残ったことはありましたか?宿題はちゃんと終わってますか? 大学の方は夏休みが2ヶ月間あり、9月いっぱいまで休みがあります。 しかし、それも大学3年生まで。 4年生から研究室に入ると夏休みがほとんどない状態になります。 でも、夏休みということで授業がないので実験に裂く時間ができるのはいいですね。 何か質問があれば気軽にどうぞ。
みなさん元気に夏休みを満喫していますか。 さて、夏休みも残すところあと数日ですね。 実は、今日化学コースの実験が予定されていたのですが、 参加人数が少ないこともあって延期になりました。 あっ驚く色の変化が魅力的な実験を用意していたので残念です。 ひとまず延期、ということなので、秋ごろに再び行われると思うので楽しみに待っていてくださいね。 皆さんの夏休みの思い出など,教えてくれるとうれしいです。
今回は、毛色を変えて人類の進化の話をしようと思います。 中学校や高校では、人類の進化は 猿人→原人→旧人→新人 と教えられます。こうして、見つめると人類の進化の段階は直線的で各段階につき一種類の種族しかいないように感じられます。しかしながら、そうではないのです。人類の進化は、もっと多種多様に分岐しています。そして、たくさんの種類が競い合い、一方は絶滅し、そして一方は進化の階段を踏んでいきます。(2002年の段階で)人類の進化の過程で最終的に現代人に至るまで、三回の大きな分岐・分散が起きたと考えられています。 ○第一段階 600〜500万年前 アフリカで人類の祖先である前人類(猿人)が誕生しました。前人類は極めて多種に分岐し、少なくとも5つ以上の属に分類されます。(オルロリン属、アルディピテクス属、アウストラロピテクス属、パラントロプス属、ケニアトロプス属) 前人類たちは二足歩行を始め、それはアフリカの気候の乾燥化にともない、森林が草原に変わったことが理由ではないかと考えられています。(これは1つの学説である!) 前人類類について 【特徴】 二足歩行 足と腕の長さが同じくらい 口が突出している 脳の容積は類人猿と同じく400cm^2 立ち上がったチンパンジーと悪口をいた研究者がいたそうな・・・ 2つの型に分類 ・歯と顎の小さななタイプ 華奢(きゃしゃ)型 ・歯と顎の大きなタイプ 頑丈型 ○第二段階 300〜200万年前 初期のヒト属(ホモ属)の人類が誕生し、アフリカを出て、ユーラシア大陸に進出しました。 このヒト属の出現は、アフリカの気候のさらなる乾燥化にともない、餓死を避けるため多様な食料獲得戦略でこれを乗り切ろうとする進化ではないかと言われています。この乾燥化を「オモ事件」と言います。 【前人類の違い】 足が伸びる 口が引っ込む 脳容積が拡大する ○第三段階 20〜15万年前 アフリカでホモ・サピエンス(新人)が誕生し急激な拡散を行い、世界各地の人種集団が生じる。 【自分なりの感想】 何か、話できることはないかと探していたら、昔の講義の資料が見つけて、今回の話題を作りました。それで、分かったことというか改めて認識したことは、研究の最前線を見ると熾烈な競争があり、新しい学説が飛び交っているということ。つまり、非常に流動的であるということ。この資料の発行が2002年だから、もしかしたらたくさんのことが変わってしまっているかもしれませんね。(笑) 様々なことに興味を持ってください。 参考文献 大学〜年生の講義資料より イブ・コパン著 馬場悠男・奈良貴史訳 「ルーシーの膝 人類進化のシナリオ」 p7−20 紀伊国屋書店 2002年(原著1999年)
今回は光の吸収の条件についてです。 物体に光が入射すると物体の中の電子が光を吸収し、電子がより高いエネルギー状態に遷移します。 これが光吸収のプロセスですが、いくつかの条件により特定のエネルギーの光が吸収されたり、されなかったりします。 その条件とは電子の遷移先のエネルギーが空いている(可能である)かどうかです。 物質にはエネルギー別に「電子が存在している領域」「電子が存在できない領域」「電子が存在できるが今は存在していない(空いている)領域」の三つがあります。 (この領域の区別はバンド理論と呼ばれるもので定義されています) 光が入射すると「電子が存在している領域」の電子が「空いている領域」へ遷移することで光を吸収します。 しかし電子の遷移先が「電子が存在できない領域」もしくは「電子が存在している領域」だった場合、その吸収のプロセスは起こらずその光は吸収されません。 この吸収の条件がどの色の光を吸収するかを決定し、吸収される色によって私たちの目に見える色が変わってきます。
昨日研究室に先生の知り合いであるポルトガル人が講演をしにきました。 この人は計算シュミレーションをしている人で、計算で構造最適化の決定など、目ではわからないことをパソコンでこうなっているんじゃないかと目に見える形で表したりして面白いと感じました。 こういう実験の仕方もあるんですね。 この前もエジプトから来た先生が2ヶ月間うちの研究室に居たりと、今年はすごい国際的な感じになっています。 ここで改めて英語の大事さというものが感じられますが、勉強をしようとするとなかなか出来ない自分がいたり・・・ 英語はこれから必要になってきますね。
さて今回のメールは「光の種類と見え方」についてです。 みなさんは「太陽の光は何色か?」と聞かれた場合どのように答えますか? ほとんどの人が「白」と答えると思いますが、この「白色の光」と言うものがちょっと厄介なものです。 光の色は光の波長によって変わってくるのでですが、「白色」の波長というものはありません。 実は「白色の光」というものはたくさんの光が重なったもので、太陽光をプリズムを通してやると重なっていた光が分解されて虹色の帯が見られます。(CDなどの裏面が虹色に見えるのもこれが原因です) また私たちが色を認識する仕組みについて説明します。 私たちが、りんごなど赤色だと認識するものは、光をどのどのように反射・吸収していると思いますか? 「赤色だけを反射し、それ以外を吸収している」と思うかもしれませんが少し違います。 答えは「青・緑だけを吸収し、それ以外を反射している」です。 これは「補色」という光の性質で、補色の関係にある光が重なっていると人間の目には白色と認識されます。 つまり私たちは「補色」 が吸収された光の色をその物体の色として認識しているのです。
先日、大阪の方へ試験を受けに行った帰りに大阪城に寄ってきました。 大阪城は日本三名城の1つと言われているみたいです。あと2つは熊本城と姫路城みたいです。 大阪城は間近で見ると大きいですね、岡山城と比べものにならないぐらい大きかったです。 大阪城の特徴というとおおげさですが、屋根に使われている瓦は緑色ですよね。 あれには銅が使われているらしく、酸素と二酸化炭素と水と反応してできるものが緑色になるそうです。 2Cu + O2 + CO2 + H2O → CuCO3・Cu(OH)2
先週の土曜日は岡山市の花火大会でした。花火は夏の風物詩ですね。 豪快な打ち上げ花火もきれいですが、私は小さな線香花火も好きです。火花の様子が刻々と変わっていくのを見ていると飽きません。 途中でポトッと落ちてしまうと悲しいですが・・・ さて、花火はなぜたくさんの色の光を放つことができるのか? これは炎色反応によるものです。 元素にエネルギー(ここでは熱エネルギー)が加えられことにより、 電子が通常よりも高い状態になります。 しかし、高い状態だと不安定なので,元の状態に戻ろうとします。 このとき放出されるエネルギーが光となり、私たちがそれを見ているのです。 夏休みも折り返しですね。 くれぐれも熱中症には気をつけて楽しく過ごしてくださいね。
今週の頭に、就職先の会社の懇談会ということで東京に行ってきました。(もちろんお台場のガンダムも見てきました!)その時、思ったんですが若干東京の方が涼しいと感じました。やっぱり岡山は暑いんですかね。さて、今日は”暑い”という関連の話。 お風呂の適温をご存知でしょうか。40〜42度前後と言われています。もちろん季節によって多少変わります。 さて、ここで気温について考えてみると、気温40度というのはかなり暑いです。逆に、お風呂が30度というのはぬるいです。どうやら気温の方がお風呂に比べ、同じ温度でも暑く感じるようです。 これは、皮膚表面の温度と関連しています。水(お風呂)は熱を伝えやすく、仮に30度のお風呂に入ると体温を奪っていきます。一方で空気の熱伝導性は低いので、体温である36度を保ち続けます。したがって皮膚表面の温度が高い空気中の方が暑く感じるのです。
ようやく梅雨もあけて夏本番らしくなってきましたが、みなさんはどのようにすごしていますか? 暑いからといってクーラーの効いた部屋に一日中閉じこもっていませんか?体の調子が悪くなりますよ。 (ちなみに私はクーラーの効いた研究室でのんびりと研究しています。) さて、今回のネタは「透明なアルミを作ることに成功した」と言うものです。 透明といっても私たちが見ている光(可視光)ではなく紫外線(日焼けの原因)に対して透明になったと言うものです。 (つまり私たちの目には依然不透明なままです) 実験方法はアルミに非常に高い輝度(明るさ)を持ったX線レーザーをあててやると、一瞬だけ紫外線をほぼ完全に透過する状態になるそうです。 これは光の輝度が高すぎるため、光を吸収するするためプロセスが限界になり、これ以上吸収できないため光が透過してくると言うものです。 また吸収された光は最終的には熱に変わるため、アルミは一気に加熱されます。 この研究自体は恒星内部の極限状態を再現するためのもので、太陽で起こっている核融合を地球上で再現するのに役に立つのではないかと考えられているそうです。 今回は透明と言う事柄について紹介しましたが、みなさんは光の透過や吸収、またそれによって目に見える光の色がどのように変化するのか知っていますか? 次回からしばらく光の吸収関連について紹介していきます。
今回は、光のエネルギーの話をしようと思います。 エネルギーというのは、色々な形態に応じて存在しています。例えば、熱とか。 それで、光そのものにもエネルギーが存在するわけです。 ここで、知っとくと便利な公式 [光のエネルギー、eV] × [光の波長、Å] = 12500 という公式が、実はよく知られている関係式から導けます。 単位が見慣れないと思いますから、解説すると・・・。eV(エレクトロンボルトと読む)というのはエネルギーの単位の1つで、そんなものかと思って下さい。Å(オングストロームと読む)は長さの単位の1つです。 ちなみに、 1Å=1/10000000000 m = 10^−10 m という関係です。(このÅの大きさから分かるように、上の2つの単位はミクロの世界を記述するのに、しばしば使われます。) 話をもどすと、可視光というのは波長3800Å〜7500Åです。エネルギーに換算すると(上の公式を使ってみてください)、約1.7eV~3.3eVになります。 ちなみに、日焼けというのは可視光の波長より短い、2800Å〜3150Å、エネルギーに直すと約4eVが原因と言われています。逆のことをいうと4eV前後のエネルギーが肌を構成しているタンパク質を変化させるエネルギーであると言えるわけです。 今日はここまで。 質問受付中!!
前回行った「エクセルでのシミュレーション」で行ったことの補足をします。 前回の最後に惑星の運動に対する運動方程式を書きましたが、その数式の意味を言っていなかったと思うのでここで説明しておきます。 まず運動方程式は d^2 x/dt^2 = GM/(x^2 + y^2) * x/(x^2 + y^2)^(1/2) d^2 y/dt^2 = GM/(x^2 + y^2) * y/(x^2 + y^2)^(1/2) になります。この式は太陽が動かないと言う仮定(十分大きくて重いから)のもとで惑星に働く重力を考えた時の方程式です。 まず、x、yの両方向に共通する前半分(GM/(x^2 + y^2))は重力が質量に比例し、距離の2乗に反比例することを表しています。((x^2+y^2)^(1/2)が距離をあらしています) 次に後ろ半分は重力をx方向とy方向に分割する部分です。 この方程式を使って惑星の運動をシミュレーションできますが、安定して運動させるためには定数の値や初期値の設定をかなりシビアに設定してやる必要があります。 もしその条件から外れると、惑星は太陽に衝突するか、宇宙の果てに飛んでいってしまいます。 さらに運動方程式を改造してやることによって複数の惑星の運動をシミュレーションしてやることもできますが、さらに値の設定が難しくなります。 改造自体は講義で使ったエクセルを改造すればできますので、興味がある人は挑戦してみてください、私もアドバイスします。
私は先日、日本一と謳われる「富士山」に登ってきました。 天気がいいとは言えない中、登ることになりました。 山の天気は変わりやすいと言われているとおり、頂上に上がるにつれて雨風がひどくなっていきました。頂上の景色が見れずに残念に思っています。 中学校の理科で習ったと思いますが、乾燥断熱減率と湿潤断熱減率という言葉を覚えていますか? ・乾燥断熱減率は、標高が100m上がると約1℃下がる。 ・湿潤断熱減率は、標高が100m上がると約0.5℃下がる。 と言われています。 さて、ここでちょっとした【問題】を出したいと思います。 富士山は、3776mの高さがありますね。 私が登り始めた5合目の高さが2000m(A地点としましょう)ぐらいです。 登っている途中の8合目の高さが3270mぐらい(B地点としましょう)で雨が降ってきて、頂上の3776m(C地点としましょう)までずっと降っていました。 A地点の気温を20℃としたとき、B地点とC地点の気温は何度になるでしょうか。 この答えは次に言いたいと思います。 そして、答えは実際私が体験した気温ぐらいになっていますよ。 何か質問があれば気軽にどうぞ。
2日前、皆既日食がありましたね。見ましたか?僕は、今回初めて皆既日食を観測してかなり感動しました!天気は少し微妙だっけど、贅沢は言えません。実際、皆既日食の時間帯、丁度雲で隠れていた太陽が出てくれたわけですから。 さて、今回は皆既日食に合わせた話として相対性理論の話をしようかなと思います。 皆既日食と相対性理論とがどう関係があるかというと、相対性理論は本当に正しいのかという検証に皆既日食が利用されました。 どんな理論を考えるにしても、現象を説明できないといけません。特に相対性理論は常識を逸脱したことをいくつも言っていて、この理論の検証をすることは非常に重要でした。 相対性理論の一つの予言に、光も物体と同様に重力に引かれて実は曲がるという結果が導かれます。 この現象を観測するためには、非常に強力な重力が必要です。そのために太陽の重力が注目されました。そこで、地球に対して太陽の後ろ側にある星を観測するという実験が行われました。もし相対性理論の言うとおりならば、星から発せられた光は太陽の重力に曲げられるわけだから、地球でその星を観測するとレンズのように星の虚像を観測することになります。つまり、実際の星の位置と観測から得られた結果から推測される星の位置にズレが生じるわけです。 それで、その星を観測するために皆既日食が利用されました。普通の日だと太陽の光が強すぎて、そのような星の光は観測できません。太陽が隠れた時を狙うのです。 これから、夏休みですね。時間を上手に使って楽しい夏休みにしてください。 どんな質問でも受付中です。それでは。
今日は日食でしたがみなさんは観測できましたか? 私のほうはデジカメを使って日食の様子を撮影していました。科学先取りのサイトに掲載されているそうなので、もしよかったら見てください。 今日は天体つながりで、木星に衝突した隕石の話です。 2・3日前に木星の南極付近に衝突したようです。この時にできた衝突跡が地球とほぼ同じサイズらしいです。 以前木星に小惑星が衝突したことがありましたが、今回の衝突はその日からきっかり15年目になるそうです。 結構因縁めいた感じもしますが、こういった彗星は発見者の名前がそのまま使われる場合がほとんどで、もし興味がある人は挑戦してみてください。
この連休に私は実家に帰っていました。 久しぶりに地元の図書館に行き、何か面白い本はないかと物色していました。 そして借りたのが火山の本です。 書名は忘れていしまいましたが、世界の火山が写真とともに紹介されています。 火山のでき方、よく起こる火山現象、地形やアクセス方法など、それぞれに詳しい解説が書かれています。 日本の火山として、有珠山・富士山・阿蘇山・桜島が紹介されていました。 このような少し専門的だけれども一般の人も十分楽しめる本というのはなかなか見る機会が無いと思います。 図書館に行けば高くて手の届かない写真集や科学系の雑誌も置いてあるので、 暇つぶし&知的好奇心の刺激にはもってこいです。 また、ざっと本棚に並んでいる書名を見ていくだけでも面白いと思います。 思わぬ掘り出しものに出会えるかも!? 地元の図書館や学校の図書館に読みたいものが無い場合は, 県立図書館にあるかどうか確かめてみてください。 地元の図書館で借りることができるシステムがあります。 また、新刊購入のリクエストをすれば買ってもらえることもあります。 私は地元の図書館で専門書に近い一般書を買ってもらいました。 高くて手が出なかったので。 でも、内容が難しくて途中で断念してしまいました... ということで、せっかくの夏休み。 元気に楽しみましょうね♪
チューター通信を興味深く読ませてもらっています。 たまに専門的でよくわからないときもあるのですが、研究や実験のために国内でもいろいろな所へも行くのですね。それには驚きました。また自分の 近い将来のすがたを少し想像しながら、読むこともあります。 少し前の新聞で、見学に行ったカミオカンデへの応用にも使えるかもしれない ニュートリノの検出器が小規模ですが実験で成果をあげた記事や、 国の科学技術政策で予算が伸びなかったり、若い研究者が内向きである。 という記事をみました。 ぼくは今、科学のことを考えたり、チャンスがあればいろんなプログラムに参加してぼくの知らなかったことを目で見たり感じる気持ちを大切にしたいと思いました。
チューターの鳥越です。お返事ありがとう。 チューター通信をいつも楽しみに読んでくれていると聞いてうれしいです。 さて、海外の大学について知りたい。ということですが、残念ながら学会で訪れただけ(しかも夏休み中...)なので、 ピンポイントで答えられないと思いますが、現地で見て感じたことについてお話しようと思います。 まず驚いたのは大学の敷地をきちんと整備してあったことです。 芝生はきれいに刈られ、花壇も木々も手入れが行き届いていました。 手入れをされている方を見かけましたし、アルバイトで学生が行っている様子も見受けられました。 建物の外しか見ていませんが、あれだけ整備されているのであれば、 おそらく建物内もきちんと掃除や手入れがなされているのではないかと思います。 しっかりと勉強や研究に打ち込める環境を作ろうという意識が日本より強いのではないかと感じました。 大学を中心とした街づくりができているようにも感じました。 大学の紋章(コロラド大学はバッファローだったような気がします)を街中でよく見かけましたし、 みなさんコロラド大学を誇りに思っているようでした。 先ほど述べたように大学の職員等、多くの雇用を生んでいることも大きいかも知れません。 また、以前先生方から聞いたことがあるのですが、 アメリカでは大学の授業料等を自分で負担するのが一般的だそうです。 いくらかは親から援助してもらうのだとは思いますが、 アルバイトをしたりして払っているようです。 そのようなこともあってか、学会の受付や宿舎の窓口は学生でした。 また、ルームシェアもしているようです。 (ニュージーランドに留学している友人もルームシェアしています) このように,自分で稼いで学ぶということもあってか、 日本と比べ学習意欲がかなり高いと聞きました。 さらに、日本は入学するためのハードルが高いですが、 アメリカだと入学よりも卒業のハードルが高いとも聞きました。 ひとまずこのくらいしか思い当たらないのですが、 何かあればまた連絡しますね。 それでは、どんどん暑くなりますが、体に気をつけてがんばってくださいね。 次回の先取りメール☆もお楽しみに。
僕の研究室は物性理論物理学研究室ですが、今回は今の物理学が何を研究しているかについて話をしようかなと思います。 今の、物理学の研究は2つに大きく分かれて、物性物理学と素粒子物理学に分かれます。 物性物理学は、文字通り物質の持つ性質を研究します。例えば超伝導の研究は、これに属しています。僕が思うこの研究の面白いとこは、素朴なこと。実は、この分野のハミルトニアン(考えている対象の性質を記述するもの。量子力学はこれをキチンと記述することから始まります。詳しくはwikiで調べてください。)は完全に分かっていて、どれもがよく知られたものです。不思議なとこは一切ない。それにもかかわらず、超伝導をはじめ強磁性体や反強磁性体など様々な結果が導かれます。シンプルなのに複雑、そこが面白い!! 素粒子物理学は、・・・・全然知らないんだけど。物質の究極の形を追求しているとでもいいましょうか・・・。物っていうのは、・・・例えば人間で言うと、人間を構成している分子(タンパク質など)に分解できて、さらにその分子を構成している原子になって、さらにこの原子も電子と原子核になって、電子はどうやらこれ以上分解できないみたいなんだけど原子核は陽子と中性子になります。そして現在この陽子と中性子はクォークに分解されるそうです。 人間 −> 分子 −> 原子 −> 原子核 −> 陽子、中性子 −> クォーク などのように、本当に小さな世界を研究しています。最近ノーベル物理学賞はこれに属するし、ニュートリノもこれに属します。 もちろんこの2つ以外にも、物理の研究テーマはあるようです。例えば、大掛かりなシミュレーション。地震によって、岩などがどう崩れるかとか。後、経済物理学とかも聞いたことがあります。 今回は、僕が一方的に話ましたが、個別にどんどんメールを受け付けようと思います。分からないこととか(学校の勉強が分からないでも、いいよ)どうぞ、メールして下さい。
「科学先取り」の生駒です。 みなさんはこの暑い中どのようにすごしていますか? 私の方は来週の水曜日にある日食のために観測用のフィルターなどの準備をしています。 今回は研究で使う物質の構造を描写する「vesta」(ベスタ)というソフトについて紹介します。 みなさんは科学の授業などで化学模型というのを見たことがありますか? 原子を表すブラスチックの玉が結合を表すパイプてつながったものです。 物質の構造などを理解するのに便利なのですが、値段が高いという欠点があります。 そこでその化学模型をパソコン上で描いてやろうと言うのが「vesta」です。 このソフトの入手自体はインターネットで「vesta」と検索すれば見つかりますが、メニューなどがすべて英語なので使いこなすの難しいかもしれません。 もし興味がある人は《科学先取り岡山コース》に返信してくれれば、入手方法や使い方を教えます。 あと、7月25日の科学先取りでエクセルを使った数値シミュレーションについて発表する予定です。実際に自分の手で組んでみるのも楽しいと思いますので興味がある人はぜひ参加してください。
科学先取り岡山コース 受講生のみなさん!こんにちは、チューターの鳥越です。 最近,本当に蒸し暑いですね。 不快指数が高すぎです。アメリカはこんなのじゃなかったのに・・・ というわけで、今週もアメリカ話を 話題は尽きないですよ! 実は発表の翌日にロッキー山脈国立公園に先生とドライブに行きました。 標高3000 m級の山々に車で登ることができます。美しい光景,大自然に感動しました! しかし、山の天気は変わりやすいもので、晴れていると思ったら急に雲が出てきて雨が降ったりしました。 標高3000 mという高地では、植物の種類や生え方もコロラド大学のあたりとは異なっていました。 湿原・湖そして山とさまざまな地形を公園内で見ることができましたが、そのそれぞれで違う植物が生えていました。気候・土壌の栄養分の量、日照の様子など、その環境に適した植物たちです。 つまり、育っている植物やその様子(植生:しょくせい、といいいます)を見れば、環境が見えるのです。 一年の大半が雪で覆われるようなところには大きな植物が育たないために、 岩がゴロゴロと転がっているだけでした。 一方で、少し標高の低いところでは、短い夏を狙って咲き誇っている花を見つけました。 植物だけではありません。動物たちも同様です 環境にあわせて体を進化させ、季節ごとに移動しながら生活しているものもいます。 このように、気候と動植物のつながりを間近に見ることができ、 「生態系」という言葉の意味をより深く理解できたと感じています。 ほんの小さな草でも、それを追っていけばそこに住む動物や、環境がわかってしまうなんて・・・ いやあ,自然のつながりってすごいですね。 もちろん、これも科学です♪ それでは次回の先取りメール☆もお楽しみに。
毎回楽しくチューター通信を読ませていただいています。 僕は海外の大学に興味がありますので、鳥越先生の海外の大学の話には特に興味がもてました。 海外の大学と日本の大学の違いなどについてどのように感じられたか知りたいです。
「科学先取り」の生駒です。 以前運動方程式のシミュレーションをエクセルで行う方法を紹介しましたが、今回はエクセルを使って一般的な方程式の解を求める方法を紹介します。 数学の問題で(x^2 + x -6) = 0 の解を求めろといった問題を見たことはありませんか?(x^2 は xの2乗を表しています) これくらいなら因数分解や解の公式を使えばすぐに答えは出ますが、x^4 -10 x^3 +35 x^2 -50 x +24 = 0 の解はそう簡単にはできません。 このような場合に比較的簡単に解をもとめる方法がニュートン法です。 ニュートン法は始めに適当な値x(0)からスタートし、下の式に従ってx(n)の値をどんどん更新していく方法です。 x(n+1) = xn - F(xn) / F ' (xn) (F(x) は解を求める方程式、F ' (x) は方程式をxで微分したもの) この方法に従うとx(n)は更新していく度に正確な解の値に近づいていきます。 ではニュートン法をエクセルで計算させてみます。 例として(x^2 + x -6) = 0の解を求めて見ます、まずエクセルに下のとおり値や文字を入力してみてください([ ]が1マスを表しています) 1行目 [X] [F(x)] [F ' (x)] 2行目 [5] [=A2*A2+A2-6] [=2*A2] 3行目 [=A2-B2/C2] [=A3*A3+A3-6] [=2*A3] 入力できたら三行目をF(x)の値(B列)が0もしくは十分0に近い値になるまでコピーしてください。 F(x)が0もしくは十分0に近い値になった時、x(n)の値がそのその方程式の解か十分解に近い値になっています。 注意点として、一つの初期値(x0のことでエクセルでは2行1列に入っている5の値が初期値)から求められる解は一つしかないことです。 紹介した方程式には解が二つありますが、上の方法では解が一つしか出てきません。 もう一方の解を求めるためには初期値を適当に変えてみる必要があります。 例えば上の例で初期値を -5 にしてみると別の解の値になります。 このようにニュートン法では初期値を変えて解を探す作業が必要になります。 もし別の方程式を計算したい場合はF(x)とF ' (x)の部分を変更すればどんな方程式にも対応できます。 興味のある人はx^4 -10 x^3 +35 x^2 -50 x +24 = 0を計算してみてください、ちなみに解の個数は4個です。
今回の先取りメール☆は予告通りアメリカ編第二弾です。 そういえば、前回お伝えするのを忘れていました。訪れたのはコロラド州のボルダーにあるコロラド大学です。 ボルダーといえばマラソン選手の高地トレーニングで有名です。 そういうこともあるのかもしれませんが、大学内やその周辺をランニングしている人を良く見かけました。あと、自転車も専用の道路が完備されるほど利用されています。 そんな大学の様子を見て一言「美しい!」 誰もが感じると思います。緑の芝生にレンガの建物。大学とはこういうものか、と思いました。よくアメリカの大学生が芝生に寝転んでいますが、まさにその通り。柔らかな芝生の上やベンチの上に転がって友人たちと話していました。手入れも十分に行き届いて、こんな環境だとやる気も倍増するだろうな〜と思いました。 これまで、国内も含めていくつかの学会に参加させていただきました。そのたびに、様々な大学・地域を見ることができとてもいい刺激になっています。筑波やSpring-8での実験も同様です。こうやって受けた刺激は、必ず自分の糧(かて)になると思います。 価値観も変わってくるだろうし・・・ そうそう、高エネ研で得たことが今回役に立ちました。 時差ボケがなかったんです! 高エネ研での不規則生活がこんなところで役立つとは・・・ やはり、何事も自分の糧になるといったとおり(笑)。 ということでアメリカ話からそれてしまいましたが、これからもどんどん経験を積んでいきたいと思っています。 ですから、皆さんも、怖がらずにいろいろな体験をしてみませんか?
こんにちは。チューターの鳥越です。 そうそう,この前の懇親会はどうでしたか? メンバーとのつながりを感じられたのではないでしょうか。 私も行きたかったなぁ。 なぜ参加できなかったかというと・・・ アメリカの学会に参加していたからです! 高校の修学旅行でシンガポールに行ったので、海外自体は二回目ですが、今回はしゃべらないといけないので・・ 先生と一緒に参加したので道中は安心ですが、発表となると自分ひとりですからね。 実は、日本を発つ二日前まで学外で実験をしていて、ほとんど準備ができていませんでした。なので、日本での数日と現地での数日でスライドと原稿を準備して、覚えて・・・ そして本番 今回の学会は分野が少し異なっていたせいもありますが、聞き手が少なすぎてあまり緊張しませんでした。 でも、反応が無かったので、ちゃんと伝わったのかどうかわからず,なんともいえません。 しかし、良い経験になったのは間違いありません。 英語なんて日本にいたらそんなに関係ないや。なんて思っているかもしれません。 しかし、科学の世界に足を踏み入れようとするならば、覚悟したほうがいいですよ・・・ 世界中の情報を手に入れ、世界に向けて自分の研究を発信しなければならないからです。 私も高校の担任の先生に聞いていたのですが、信じていませんでした。 しかし、現実はそう甘くなく、現にこのような状況になっています。 私は英語が苦手ですが、そんなことをいっていられない状況になって、あの時もっとやっておけばとかなり後悔しています。 というわけで、みなさん!とにかく英語からは逃げられません! 苦手に感じているのならば、少しずつその意識が小さくなるように楽しめるようになれるといいですね。 私も含めて・・・ 今回の先取りメール☆はここまで。 次回は、アメリカ編第二弾をお送りしたいと思います。
中性子は原子力発電所でどのようにして発生するか知っていますか? 原子力発電所ではウラン235という物質が使われています。 このウラン235は核分裂しやすい物質で、中性子を吸収すると不安定核を形成します。 この不安定核が崩壊するときに熱エネルギーと2個ほどの中性子が発生します。 1個の中性子から2個ほどの中性子が発生するということで、このままでは中性子の数がどんどん増えていきます。 そこで制御棒(中性子を吸収する材料)を用い制御して、反応が一定に保たれています。 実験では核分裂で発生した中性子を減速材などを通してエネルギーを低くしたものを使っています。 みなさんはもう衣替えは終わりましたか? 私はやっと夏に向けて衣替えをしました。 前回のメールで東海村に来週もう一度行けるかもと言っていましたが、急遽行けることになりました。 うまく測定できるかわかりませんが、頑張ってきたいと思います。 何か質問があれば気軽にどうぞ。
「科学先取り」の生駒です。 みなさん先日の交流会はどうでしたか? 僕の方はみなさんと同じころを思い出しながら「若いっていいなー」とジジくさいことを考えていました。 今回のネタ「太陽黒点をスパコンで再現」というものです。 米国大気研究センターの人がスパコンを使って1個の黒点の動作をシミュレートしたそうです。 その内容は、最近黒点の数が少なかったのですが、この研究は今後黒点の数が増えていき、2013年ごろにピークを迎えるということものです。 黒点の発生原理や太陽活動との関係については、調べれば簡単に見つかると思うので興味がある人は調べてみてください。 「スパコンを使っても一個分の黒点しか再現できないのか」と思われる知れませんが、シミュレーションは高スペックなパソコンでもものによってかなり時間がかかったりします。 例えば僕の研究しているものでは、結構高スペックなノートパソコンで1つのグラフを書くために必要な時間は約15分ぐらいです。 この時間は結構短い方で、先輩の計算にはグラフを一つ書くのに一日かかるというものもあります。 みなさんが研究するときにはこれくらいの時間がかかるものであると思っていてください。
暑くなってきましたね・・・みなさん元気に過ごしていますか? さてさて、忘れてはいませんでした。前回のクイズの答えです。 正解は「A季節によって,太陽の昇る高さが違うから」です。 耳にしたことがあると思いますが、夏至・冬至というのがありますね。 夏至は一年で最も太陽が昇っている時間が長い日。 反対に冬至は一年で最も太陽が昇っている時間が短い日になります。 これは太陽の昇る高さが決め手になっています。 太陽が高く昇ればその分、日照時間が増え気温も上がります。 「@季節によって,太陽と地球の距離が違うから」 これも現象としては起こるのですが、季節を生み出すほど影響はありません。 なぜ太陽と地球の距離が異なるのでしょうか。 これは,地球が傾いているからです。 傾いている!?何に対して!? キーワードは「地軸」。 自分で調べてみてくださいね。(言葉では説明しづらいので・・・) それでは、次回の先取りメール☆もお楽しみに!
「科学先取り」の生駒です。 前回エクセルを使ったシミュレーションについて紹介しましたが、細かい部分が説明しきれていなかったので今回はその部分について紹介していきたいと思います。 前回は下のような運動方程式について紹介しました。 y ' ' = -9.8 x ' ' = 0 (y ' ' はyの二回微分を表し、y方向の加速度の大きさになっている) この方程式は前回のエクセルでは下の x ' ' y ' ' の部分に代入されています。 X Y Vx Vy 3行目 [=A2+C2*0.1] [=B2+D2*0.1] [=C2+( x ' ' )*0.1] [=D2+( y ' ' )*0.1] つまりこの部分を変更し、変更した3行目をコピーしていけば幅広い運動方程式をシミュレーションできます。 そこで今回は運動方程式を変更する上でのポイントを紹介していきたいと思います。 例えば下のような運動方程式をシミュレーションしたい場合を考えます。(じつはこの方程式はバネの運動を表しています) y ' ' = - y x ' ' = 0 この様な場合、前回のところに -y と入力してもエラーがおこってしまいます。 エラーにならないようにするためには、3行目をこの下のように書き直せば大丈夫です。 3行目 [=A2+C2*0.1] [=B2+D2*0.1] [=C2+( 0 )*0.1] [=D2+( -1.0*B2 )*0.1] このシミュレーションではA列をx座標、B列をy座標、C列をx方向の速度、D列をy方向の速度としているので、もし運動方程式の中にxやVxが入ってきた場合、対応する列の一つ前のの行の数を持ってくる命令を書き込んでやればいいです。 説明が分かりにくいかもしれないので下に対応表を書いておきます。 x -> A2 y -> B2 Vx -> C2 Vy -> D2 これで惑星の運動なども再現できますが、それは運動方程式が複雑で数字の調整が難しい問題なので、もし挑戦したけどできなかったという人がいれば、メールをしてくれればヒントを出します。
こんにちは! 科学先取り・チューターの尾古です 今回は、私の研究で扱っている物質について少しだけお話しします。 現在、私の研究対象はEu(ユーロピウム)化合物というものです。 みなさんはEu(ユーロピウム)という元素をご存知ですか? 中高生の皆さんには聞き覚えのない元素かもしれません。 Euは希土類元素の仲間で、周期表では下の方の第6周期のランタノイドに属する元素です。 産出量は希土類元素の中で最も少ないもので、名前の由来は「ヨーロッパ大陸」です。 希土類はRare-earth(レア・アース)というネーミングですが、埋蔵量自体が少ないというよりはその元素単体の精製が難しいという点から稀(レア)な元素となっています。 近代では超伝導体や磁石の材料として活躍している元素類です。 さて、今回話すEuは何に使われているかというと、例えばカラーテレビですね。 今は液晶カラーテレビに圧されて、ない家庭もあるかもしれませんが、ブラウン管カラーテレビの赤色!これ実はEuの色なんですね。 元素が特有の色を出すことは中学の炎色反応の実験でも経験済みかもしれませんが、Euは電子ビームを当てることで綺麗な赤色を発します。 ちなみに緑と青は同じ希土類のTb(テルビウム)とCe(セリウム)を使っています。 あれ?では今の液晶やプラズマ、有機ELといったディスプレイは何を使っているんでしょう? これらは発光のプロセスは違えど、色が出る原理は元素が特有な色を出すことと関連してきます。 ちょっと難しいけど調べてみるとおもしろいですよ。 理系としては知っておいて損はないです。 またそのこともお話しするかもしれません。 ではまた次回
こんにちは。チューターの鳥越です。 とうとう梅雨に入りましたね。 じっとり、むしむしするのにはうんざりしますが、まだそれほどではないですね。 雨ばかりも嫌ですが、降らないのも水不足になると困るし... というわけで、梅雨があるのも暑いのも、四季がある日本だからこそと思って楽しんでみてはいかがでしょうか。 さて、四季がなぜ日本にあるのか。もちろん、四季がある国は他にもたくさんありますが、無い国もあります。また、日本は夏に向かっていますが、オーストラリアは冬に向かっています。なぜなのか? 学校で習ったり、すでに知っている人もいるかもしれませんが、クイズです♪ @季節によって、太陽と地球の距離が違うから A季節によって、太陽の昇る高さが違うから B季節によって、地球が向きを変えるから <太陽は動かないものとして考えてください> 答えとそれ以外のコメント・質問、大歓迎です。それでは、次回の先取りメールもお楽しみに!
こんにちは。チューターの高原です。 だんだん暑くなってきて、半袖を着ることが多くなってきましたが朝と夜はまだ寒いので風邪を引かないようにしましょう。 さて、私は昨日まで茨木県の東海村という場所に実験をしに行っていました。 東海村には何があるか知っていますか? 東海村には原子力発電所(原発)があります。 私はこの原発の施設内に行き、中性子を使った実験をしようとしていましたが、ちょっと実験ができなくなってしまいました。 詳しい原因はわからないのですが、残念でした。 実験ではこういうこともあるので仕方ないと思うしかないですね。 もしかしたら来週直るかもしれないので、そのときは頑張ろうと思います。 みなさん、学校生活はどうですか? 何か質問があれば気軽にどうぞ。
今回は簡単なシミュレーションについて書いていきます。 みなさんはシミュレーションと聞くと「複雑なプログラムを組む必要がある」といった感じを持っているかもしれませんが、中にはエクセルで計算できる簡単なものもあります。 みなさんは先取りの講義で微分と運動方程式について学んだことがあると思いますが、今回は斜めに投げたボールの運動のシミュレーションを紹介します。 まずエクセルに下のとおり値や文字を入力してみてください([ ]が1マスを表しています) 1行目 [X] [Y] [Vx] [Vy] 2行目 [0] [0] [5] [5] 3行目 [=A2+C2*0.1] [=B2+D2*0.1] [=C2+0*0.1] [=D2-9.8*0.1] 入力ができたら3行目を四つとも選択肢し、その行を下へ10個ぐらいコピーしてください。 その後X,Yと書かかれた列のみをグラフにすると斜め45度に投げ上げたボールの運動がシュミレーションできます。 (各列は1列目がX座標、2列目がY座標、3列目がX方向の速度、4列目がY方向の速度を表しています。) まず1行目は初期値を表し、これが投げ上げた瞬間の状態を表しています。ちなみに今回は斜め45度に投げ上げたためX 方向とY方向の速度が同じになっています。もし初期値でVx>Vyならば45度より小さい角度で、Vx < Vyならば45度より大きい角度で投げ上げたことになります。 今回のシミュレーションの運動方程式は y ' ' = -9.8 x ' ' = 0 (y ' ' はyの二回微分を表し、y方向の加速度の大きさになっている) となっていて、ちょうど3行目の4マス目の-9.8が重力加速度を表しています。 3行目の各マスに出てくる0.1という数字は更新間隔を表し、このシミュレーションでは0.1秒ごとに運動方程式にもとづいて速度や座標の値を更新するようになっています。(更新間隔を短くする(値を正のまま0に近づける)とより現実にちかい結果が得られます) 今回のシミュレーションは投げ上げの問題でしたが、いくつか改造すると惑星の運動やバネの振動の問題にも応用できます。
こんにちは!チューターの鳥越です。新コース生のみなさん。よろしくお願いします。 先取りメール☆ではこれまで通り、私の学生生活や科学ネタ・おすすめ情報を伝えていこうと思います。 今回は、新体制の第一弾ということで、自己紹介もかねて化学の各分野について紹介します。 まずは、皆さんの頭にすぐ浮かぶであろう有機化学から。有機物を作り出すこと、「合成する」ことが主な目的です。有機化学を専攻している友人は「新しいものを自らの手で生み出すのが醍醐味!」と語ります。有機物とは炭素や水素、窒素などで構成される物質です。薬・塗料・ディスプレイ・・・身の回りにあふれています。 次に、物理化学は物理的な方面から化学を見つめる分野です。具体的には反応に必要なエネルギーを観測したり、分子の動きをシミュレーションしたりしています。先月、先取りで講義がありましたが量子力学などもしっかり活用されます。 最後は、我が無機化学の分野についてです。その名の通り、無機物質を扱っています。無機物質とは、有機物の反対。つまり有機物以外がほぼ無機物質になります。そのなかでも金属を修飾(配位といいます)して「錯体」をつくったり、海水中の有害金属の量を測ったりと金属に関する研究が多いです。 以上のように、三つの大きな分野に化学は分かれます。しかし、はっきり区別できるわけではなく、それぞれがつながっています。私の研究も無機化学と物理化学の間に位置するものです。無機物質が引き起こす現象について、その際のエネルギーや原因を調べているからです。 はっきり区別できないのは科学も同じです。化学・生物学・物理学・地学・数学。これらは密接につながりあっています。生物を構成しているのは原子ですし、原子を結びつける力は物理で説明できます。もちろん惑星の動きも物理の力が必要です。さらに、これらを考えるには数学が無ければなりません。 このように、科学の間のつながりを示す例を挙げたらきりがありません。そんな科学のつながりをその面白さをこの科学先取り岡山コースで学んでいってほしいと思います。 長々となりましたが、これからも定期的に先取りメール☆をお伝えします。 今日紹介した化学の分野紹介は、あくまで私の主観ですので、あしからず。 岡山大学理学部と化学科の HP を紹介しておきます♪ ★岡山大学理学部: http://www.science.okayama-u.ac.jp/ ★理学部化学科: http://chem1.chem.okayama-u.ac.jp/chemjpn.html それでは、次回の先取りメール☆もおたのしみに!