SPring8 実習報告
Siウェハーが結晶軸の方向にまっすぐに割れた
数理物理科学専攻 学籍番号41419112 氏名入江 祐太
実習ではSiウェハーの反射率測定,サファイア基盤上に成長させたSiの面外及び面内方向のx線回折測定を行ないました.Si薄膜の反射率測定ではSiウェハーの切り方からデータの解析まで詳しく教えていただきました。Siウェハーを使うのは初めてで、Siウェハーが結晶軸の方向にほとんどまっすぐに割れたときは感動しました。測定では実験ハッチの説明や試料のセットの仕方、アライメントの方法などを教えてもらい、各自で自分の切った試料を測定しました。その結果から膜厚と密度を求めたところ、私の測定した試料は膜厚が112.9 nm, 密度が1.50 g/cm3でした。
次にサファイアのR面上に成長させたSiのx線回折測定を行ないました。この試料は約900℃でサファイア上にSiを乗せたもので、温度が下がるとともにサファイアが収縮し、それに伴ってSiのab面内も収縮、c軸が伸びたものです。
この結晶構造の変化に伴いバンド構造も変化し新たな物性を示します。今回の実習で私たちはサファイア基盤上のSiの面外及び面内方向のx線回折を行い、格子間隔dを求め、面外と面内とで比較しました。その結果、面外方向の格子間隔はdc = 1.3598 Å、面内方向はdab = 1.3484 Åと求まりc軸方向が伸びているということが確認できました。
私はこのようなx線回折実験をほとんど行なったことがなかったため、わからないこともあったけれど、ビームライン担当者の方や企業の方にいろいろと教えていただいて大変勉強になりました。特にサファイア基板上に乗せたSiのx線回折測定では面内と面外とで格子間隔が変化しているのがよくわかりましたが、格子間隔がわずか0.01Å程度違うだけで物性が変化するというのが興味深かったです。
他にも液晶配勾膜の話やx線を用いた解析が企業でどのように使われているのかなど、学校では聞けないような話も聞くことができて素晴らしい実習になったと思います。また企業の方やビームライン担当者の方がとても熱心で楽しそうに実験をされている姿を間近で見ることができ、私もこんな研究者になりたいと思いました。
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