SPring8 実習報告
形だけの実習ではなくより現実的な体験
数理物理科学専攻 学籍番号41419117 佐藤俊介
私たちのグループは出光興産様の協力で、ある金属のXAFS測定の実習を行いました。
SPring-8は岡山大学に入学して見学に行ったとき以来で、今回のように実際にビームラインで測定をするというのは初めてだったので、どうやって測定するのか、装置はどんなものがおいてあるのか期待しながら現地に向かいました。
実習は一日目に講義と試料の作成、2日目が実際に測定という流れで進み、講義ではXAFSの原理や今回の実験の目的、特に原理に関わる物理の基本的な事柄は物理学科以外の学生が参加していたこともあり、企業の方やビームライン管理者、そして様子を見に来てくださっていた先生方が代わるがわる説明して下さり、あやふやだった知識や事前の予習では把握し切れなかったところを教えていただきました。
2日目の測定では試料の分量が足りず測定不可能だったりペレットの作り直しだったりと悪戦苦闘しましたが、限られた時間で測定を終了できるよう時間配分を考えたり試料を何個も作ったりとまるで自分の普段の実験をしているようでした。疲れはしましたがおかげで形だけの実習ではなくより現実的な体験をすることができました。
「普段研究で放射光を利用しない人たちに放射光を利用した実験とはどんなものか、その入り口だけでも体験して帰ってほしい」と企業の方やビームライン管理者の方がおっしゃっていましたが、その狙いは実習を受けた私たちが言うのも変ですが前述のことから達成できたと思います。その狙いを達成するためにどんな測定をさせるか、どんな予習をさせるかといった前準備に始まり、長時間の座学、ビームラインの詳細な説明、試料作り、測定、解析のサポートと付きっ切りでこの実習の間面倒を見ていただきました。
そして放射光測定の経験に加え、企業と大学の研究のスタンスの違いを感じられたことも実習の大きな収穫かなと思います。大学で研究をしていると基礎学問という物理学の性格もあり、一体なんのために研究をしているのかと考えることがよくあるのですがそんな中、企業の方に「企業はその研究は事業になり得るのか?と目的がはっきりしています。言い換えれば事業にならない研究は全くできません、だから学生である今は勉強をして興味のあることをしっかり研究してください」と実習の最後に言われ、大学で研究をする意義を改めて確認しました。
最後にこの実習に携わった全ての方々に感謝いたします。
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