岡山大学大学院自然科学研究科 先端基礎科学専攻(物理学・数学・地球科学)  
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 1.[Spring8 実習の感想]

SPring8 実習報告

どれだけ理解したつもりでいたのかということを実感


自然科学研究科 数理物理科学専攻   41419119   田嶋 光俊

 今回の先端放射光科学実習は、企業の方とともに実験を行うことのできる非常に有意義な機会になりました。
 実習内容は、X線反射率測定とX線回折測定。X線反射率測定は一度の測定で膜の厚さや表面・界面の粗さ、密度など、多くの情報を得られる測定手法で、薄膜の評価手法としてしばしば用いられています。現在薄膜技術は、液晶テレビの透明電極や太陽電池など身近な様々なものに応用されていて、それらの製品の評価方法として今回の測定手法は非常に有用な測定手法です。
 実際の実習では、Si基板上の有機薄膜のX線反射率測定とZnOのX線回折測定を行いました。X線反射率測定は今まで一度も行ったことがなく、僕にとっては実習で行うにはとても良い題材でした。測定中に出てくる疑問や測定とは直接関係のない質問などにも、企業の方やビームライン担当の方々がその都度親切に教えてくださり、実験と講義を同時に行っているようでした。普段大学で勉強をしているときには理解できないことも、今回のように実習しながら自分の体で体験・実感することで初めて理解できました。逆に、今まで自分がどれだけ理解したつもりでいたのかということを実感させられる良い機会になりました。
 また、今回の先端放射光科学実習では、研究におけるテーマ選びやそのテーマに対する問題意識の持ち方は重要だということを学びました。なぜこの研究をするのか。なにがおもしろいのか。研究を行う上でどんな問題があるのか。また、どうすればその問題を解決できるのか。どこに向かっているのかわからない研究と、向かうべきゴールがはっきりとしている研究とではモチベーションも得られる成果も大きく違ってきます。特に企業では、研究にはその意義だけでなく、成果と利益を上げることが重要になります。初めのテーマ選びが上手くできていないと成果が出ても利益に繋がらなかったり、それ以前にプロジェクトとして成立しないということにもなりかねません。そうならないためにもテーマ選び・問題に対する姿勢というのは非常に大切なことだと感じました。
 この実習で学んだことを活かし、今後研究を行っていくときにも、ただ実験をこなしていくのではなく、その意図をこれまで以上に深く先まで見据えて取り組んでいこうと思います。また、今回の実習で学んだことはこれからの学生生活だけでなく、就職してからも活きてくると確信しています。  放射光実習は学生が企業の方々の研究を間近感じられる数少ない機会です。企業の第一線で研究をなさっている方々のお話を目の前で、しかも実演付きで聞くことができる機会などそうそうあるものではありません。これからもこのような機会があればぜひ参加したいと思います。

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