岡山大学大学院自然科学研究科 先端基礎科学専攻(物理学・数学・地球科学)  
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 1.[Spring8 実習の感想]

SPring8 実習報告

自分の操作でSPring-8の巨大な装置が動く


数理物理科学専攻  学籍番号 41419121  氏名 戸田洋平

 12/10〜12/12の日程でSPring-8のBL14B2で実習を受けてきました.In2O3-ZnOというアモルファスの物質においてZnOとZn2SnO4のどちらの結晶構造により近いかを見積もる目的で実験を行いました.具体的な測定は,吸収係数と試料の厚さの積μtのX線エネルギー依存性を測定しました.元素によって吸収端の波長(X線のエネルギー)は決まっているので吸収元素が特定でき,吸収より高エネルギー側でのXAFS振動を解析することにより,X線を吸収する原子の周期構造が分かります.検出器(イオンチャンバー)での検出量とXAFS振動の振幅の大きさを考慮すると,μt < 4 ,吸収端前後での吸収変化Δμt > 0.2という2つの条件が計算で得られました.しかし,この条件を満たそうとすると,試料の厚みが数μm程度になり取り扱いが困難になるため,吸収の小さい軽元素BNという試料をバインダーとして混ぜて厚みを調整しました.  まず,試料とBNを混ぜ合わせペレットを作ることから行ないました.大学で行なう研究では粉末試料を扱わないので重量を測るときなど気をつかいました.また圧力をかけて固めた後,どれだけ丈夫なのか不安ながら慎重に扱いました.薄くて丈夫なペレットが形成できたときはそれなりの達成感を感じました.試料を調整する機会は日常の研究ではあまりないので良い経験になったのではないかと感じています.
 次に職員の方々とX線を用いて測定を行ないました.非常に丁寧に指導していただいたおかげですぐに自分で操作できるようになりました.SPring-8で実験をするのは初めてだったので,自分の操作でSPring-8の巨大な装置が動くと純粋に感動しました.
 その他で印象に強かったのは,実験の待ち時間にSPring-8職員の方々と話したことです.職員の方々は,非常に物理に対して情熱的な人ばかりでした.そのときの会話で自分の日頃の研究内容について聞かれたことがあったのですが,実験の面白さを自分が感じているほどうまく伝わらなかったこと,また質問されても答えられないことが心残りでした.質問にうまく答えられなくて恥ずかしいと感じた気持ちはもちろんありますが,それ以上に自分の行なっている研究に対して自分のもつ興味を共感してもらいたいという思いがありました.これがきっかけで自分の研究の勉強をもう一度一からやり直そうと決心しました. 出光から来てくださった方を始めSPring-8の職員の方々は,私たちの実習を快く引き受けてくださり質問にも丁寧に答えてくださり非常に親切でした.実験の合間の時間には,自分の経験した研究のお話をしてくださりとても充実した実習になったと感じています.そのときの言葉で印象的だったのが,「自分のやっている分野以外の分野もいつか必ず役にたってくるときがくる」という言葉です.経験豊富な職員の方々から聞いたその言葉は重みがありました.大学院でのこれからの研究生活の励みになる実習であったと思います.ありがとうございました.

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