SPring8 実習報告
失敗のおかげで貴重な体験
数理物理科学 専攻 学籍番号 41419126 氏名 山口毅典
今回の先端放射光実習において私は測定データの解析にほとんど携わらなかった代わりに,
他のメンバーの誰よりも多くサンプルの準備をすることになりました.その理由は,
他のサンプルに比べて,私が担当したサンプルは準備が多少難しく,今回のメンバー中で私だけが,
失敗をしてしまったからでした.
実験で失敗をすることはできるだけ避けたいということは当然のことですが,
私はこの失敗のおかげで貴重な体験ができたのではないかと思っています.その理由は2つあります.
1つ目は今回の実習中の24時間という限られたマシンタイムで本来ならば,
私がしなければならない解析を誰がやってくれたかということです.それをしてくれたのは,
今回の実習メンバーの仲間たちでした.限られた時間の中で,迅速に実験を進めなければならない状況で,
一人の人間がサンプルの準備と解析を同時進行で行うことは不可能と判断するとすぐに,
私のところに来て「俺が解析してしまってもいいかな?」と聞いてくれました.
このような非常に迅速かつ柔軟なバックアップがあるということは実験にのみに限らず,
様々な場面で仲間が非常に重要であるということがわかる素晴らしい体験だったと思います.
2つ目は私がサンプル作りでひたすらに乳鉢を擦っていたときの話になります.
私は一人で乳鉢を擦っている時に企業の人と雑談をしていました.
その内容は,今回の実験に携わっている企業の人はそれぞれどちらの出身で学生のころにどのような研究を
されていたかについてでした.そのような事について話すうちに物理学科を出てその技能を産業の世界で
どのように生かせるのかが,何となくではありますが,見えてきました.
この体験はずっと大学の実験室の中で実験しているだけではできず,企業の人との交流があって初めてできる経験です.
このように自分たちが今まで培ってきた技能をどのような場面で生かすことができるのかを認識するという体験は
就職活動を間近に控え,これからの進路について迷っている私たち修士1年生にとっては非常に重要な体験でした.
以上のような貴重な体験を実験の失敗がきっかけとは言え,できたことは非常に良かったと思います.
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