岡山大学大学院自然科学研究科 先端基礎科学専攻(物理学・数学・地球科学)  
TOPページへ お問い合わせ
 
 
 
 
 
 
 
 TOPページ>活動報告
 1.[HiSOR実習報告]  2.[HiSOR 実習の感想]

実習報告

HiSOR実習概要


 先端放射光科学実習では、最先端の物質科学の研究を通して、放射光を利用した研究を行う上で必要な知識と技術の習得を目的としている。実習は広島大学放射光科学研究センター(HiSOR)とSPring-8の放射光施設で行っている。
 HiSORは小型放射光施設であり、蓄積リングとビームラインの様子が一目でわかる点が特徴である。放射光施設の仕組みを理解するには大変良い場所である。この施設に岡山大学は専用のビームラインを持っている。そのラインでは真空紫外線領域のエネルギーを持つ放射光を用いた研究が可能であり、実習ではこのビームラインを使って、現代エレクトロニクスの根幹物質であるシリコンの電子状態を光電子分光と軟X線吸収分光測定により観測する。HiSOR実習では、課題を通して放射光施設の仕組みや放射光施設を使う上での基本的な考え方を身に付けることに主眼を置いている。
 実習は実験ホール内の見学からはじまる。蓄積リングやビームラインなどを目前にして放射光施設の仕組みを界面電子物理学部門のスタッフが丁寧に説明する。初めて放射光施設を体験する院生たちは、興味深そうに話を聞いている。見学後、測定試料のセット、装置の原理・使い方の説明、そして、課題へと実習は進む。課題内容はシリコン表面の、清浄化前後での電子状態の観測とその比較である。作業の一つ一つ、また、課題内容をスタッフであるポスドクの脇田さんが丁寧に説明する。院生達も測定の原理や課題の内容を理解しようと真剣である。この実習では、測定で得られたスペクトルデータは皆でその場で議論し解析をしていく形式にしている。院生たちは積極的に質問および議論をして、得られたデータを解釈していく。少人数実習なので、皆が理解できるまでとことん議論できるのがこの実習の良いところである。
 実習は1泊2日、朝から夜まで行われ日程的にハードであるが、参加した学生は疲れも見せず、熱心に課題に取り組んでいる。実習2日目の午後からはレポートの作成に時間を充てているが、内容を読むと課題を理解していることが良く分る。

HiSOR 実習の報告


(2007年度第1回実習報告)

概要:  平成19年5月15日-16日にかけて本年度HiSOR実習が行われた。今回は、数理物理科学専攻以外の学生1名(地球科学専攻)を含む合計4名の修士1年生が参加した。試料準備は脇田氏の指導のもと参加者が行い、その後1日目午後と2日目午前を使って、清浄化前後のSi表面の電子状態を光電子分光と吸収分光で観察した。清浄化表面に対しては低速電子線回折実験も行った。実習生たちは、最初のうちは難しそうな顔も見せていたが、入射時間などを利用して補足説明が行われるなかで実習に対するイメージが得られたようだった。2日目午後にはレポート作成を行った。その後、試料の試料真空槽からの移送を学生が行い、実習を終了した。  実習生からは、「おかげで放射光施設に慣れることができました。もっと体を動かすような実習のほうが眠くなくて良いです。」「基本的なことがわかっていないので、もっと勉強してからこの実習に望むべきだと思いました。」などの感想が寄せられた。

真空中での試料移動を体験する実習生



(2007年度第2回実習報告)

概要:  平成19年5月17日-18日にかけて本年度第2回目のHiSOR実習が行われた。今回は,数理物理科学専攻の修士1年生の学生が4名参加した。試料準備は脇田氏の指導のもと参加者が行い,その後1日目午後と2日目午前を使って,清浄化前後のSi表面の電子状態を光電子分光と吸収分光で観察した。清浄化表面に対しては低速電子線回折実験も行った。実習を行いながら,放射光の分光方法や光電子の測定方法などの必要と思われる点に関して,脇田氏がホワイトボードに図示するなど適切な説明により,実習生たちは光電子分光と吸収分光から何が得られるか理解したようである。2日目午後にはレポート作成を行い,実習を終了した。  実習生からの感想を以下に記す。
  • 結晶格子の像を低速電子線回折で見られて感動しました。自分でエネルギーを変えて,像の大きさが変化するのを見られたのもよかったです。エバルト球を用いて,結晶構造が2次元であることを知れたのも,説明が分かりやすくてよかったです。
  • FCCやBCCやダイヤモンド構造について,2次元構造の説明から,図や模型を使って説明してくださって分かりやすかった。
  • Siの清浄前と清浄後で,明らかなピークの違いが見えて,良かった。また酸素の結合が原因でピークのエネルギーが4eV下がっていたという説明も興味深かった。
  • 放射光の実験を初めて見ることができてよかった。 <


真剣な様子で説明をきく実習生たち

このページの上へ

 
Copyright(c) 2006 Graduate School of Natural Science and Tecnology,OKAYAMA University All Right Reserved.