岡山大学大学院自然科学研究科 先端基礎科学専攻(物理学・数学・地球科学)  
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 1.[HiSOR 実習の感想]

実習報告

HiSOR 実習の報告


(2007年度実習報告)

概要:
  平成20年2月4日-5日にかけてHiSOR実習が行われた。  放射光教育の一環として、advancedな放射光実習を行った。実習目的は、 既に実習経験者のある界面電子物理学部門の田嶋君がこれまでに得た放射光に関する知識、 実験技術をさらに深化・発展させること、である。内容は、田嶋君が現在行っている研究テーマ、 ホランダイト型マンガン酸化物の電子状態に関するものであり、実習では光電子分光測定を行った。  実習には、M1の田嶋君、同じ研究室の4年生の野網君、非常勤研究員の脇田氏、そして村岡が参加した。 初日の4日は予め用意した試料を光電子分光装置の試料室に入れ、真空引きをするところまで行った。 翌2日目、田嶋君自らが試料を測定チャンバーへ移送し、早速、光電子分光測定を行おうとした。 しかし、何故かスペクトルが現われない。原因を追究した結果、チャンネルトロン(光電子シグナル増幅器) に異常があることが分かった。装置の不調に遭遇したが参加者皆で議論して対応策を見出し、 何とか午後から測定が実行できるようになった。  まず、価電子帯スペクトルの測定、続いてモリブデン金属を用いてフェルミ準位の決定、 チャージアップの影響に関する実験、試料組成の均一性を確認する実験、最後に、 入射光エネルギーによるイオン化散乱断面積の違いを利用したスペクトル帰属の実験を行った。  田嶋君は最初に脇田氏から測定の手順や測定ソフトウエアの使い方を教わると、 まもなく全て自分ひとりで実験を行えるようになった。 測定―解析―試料の位置変え―測定というサイクルを手際よく繰り返し、 実習の後半は彼の主導の下で実験が進められた。 また、実験途中からは後輩の野網君に測定やスペクトル解析の仕方を指導する姿も見られた。 その様子や話しぶりから、今回の実習によりこれまでに得た光電子分光測定の知識、 実験技術が定着し、同時に新たな知識も獲得したことをうかがい知る事ができた。 1泊2日の実習ではあったが、トラブルへの対応や主体的な実験の実行を経験することで、 田嶋君の放射光実験に関する知識・技術は大いに深化しており、掲げていた実習の目的は十分達成できたと思われる。

田嶋君の感想:
 今回は研究員の脇田さんの指導のもと、 試料の導入から測定・解析までの光電子分光実験の一通りの作業をほとんど自分自身の手で行った。  実験開始直後に一時測定ができなくなるというトラブルに見舞われた。 しかし、その原因を検討し様々な対処を行った結果、トラブルを解消することができ測定を行うことが可能になった。 その後は脇田さんに助言をいただきながら測定と並行してデータ解析も行い、順調に実験を進めることができた。  今回、光電子分光実験の全工程に渡る作業のほとんどを自分自身で行うことで、 実験技能の習熟になった。また、実験中にトラブルが生じたことにより、 予期せぬ事態への対処法を学ぶことができた。研究室で机に向かっていては決して得られない経験をすることができ、 これは今後の自身の研究活動にも活かしていく。



写真
(左)試料を真空中で移送する田嶋君
(右)実習参加者 左から、村岡、脇田、野網、田嶋


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